柏木広樹

柏木広樹：チェロの可能性を無限に広げる音楽家

柏木広樹(1968年7月20日生まれ)は、日本のチェリスト、作曲家、編曲家、そして音楽プロデューサーとして、多方面で活躍する稀有な存在です。東京都多摩市出身。佼成学園高等学校、東京藝術大学音楽学部器楽学科卒業という輝かしい経歴を持ち、1989年にはインストゥルメンタルバンド『G-クレフ』のメンバーとしてデビューを果たしました。

1990年には、歌のないインストゥルメンタルバンドとして、NHK紅白歌合戦への出場という快挙を達成。その後、1995年にG-クレフ解散後、2001年から本格的なソロ活動をスタートさせます。

柏木広樹の音楽性は、ブラジル、アフリカ、スペイン、バリ、そして日本の音楽といった多様な文化の要素を取り込み、チェロの可能性を最大限に引き出した独自のスタイルで、高く評価されています。HATS UNLIMITEDよりオリジナルアルバムを精力的にリリースし、10枚目のアルバム『VOICE』では、藤原道山、里アンナ、ザ・ハモーレ・エ・カンターレ、植木昭雄、フレーベル少年合唱団といった豪華なゲスト陣を迎え、さらに「羽根屋・富美菊酒造」のテーマソングや小説「エミリの小さな包丁」のテーマソングも収録するなど、幅広い音楽性を披露しています。

幼少期からの愛読書である『ドリトル先生』の世界観をイメージした楽曲を、アルバムごとに収録していることも彼の大きな特徴です。動物や自然をテーマにした作品も多く発表しており、盲導犬チャリティコンサートへの出演をきっかけに、動物愛護への支援活動にも積極的に取り組んでいます。

ソロ活動に加え、能や朗読、タップダンスなど異ジャンルのアーティストとのコラボレーションも積極的に行っています。「Made in musicasa」と銘打ったシリーズ公演では、音楽と家という意味を持つ造語“musicasa”をコンセプトに、ジャンルを超えた共演で、常に新しい音楽表現に挑戦し続けています。

また、数多くのアーティストのコンサートやレコーディングに参加し、葉加瀬太郎や西村由紀江といった著名なアーティストのサウンドプロデュース、押尾コータローや佐藤竹善(SING LIKE TALKING)のアレンジなど、その活動は多岐に渡ります。藤原道山、木村大、小沼ようすけ、沖仁、塩谷哲、上妻宏光、小松亮太、NAOTO、純名里沙、里アンナなど、錚々たるアーティストとの共演歴も誇ります。

さらに、ヤマハのエレクトリック弦楽器「サイレント・シリーズ」の開発協力や、Coda Bow社と黒澤楽器店によるカーボンファイバー製の弓のミュージシャン・モデルの発売にも携わり、国内外のプロチェリストからも高く評価されています。

映画『冷静と情熱のあいだ』への出演、『新世紀エヴァンゲリオン』での碇シンジのチェロ演奏担当、アカデミー賞受賞映画『おくりびと』での本木雅弘へのチェロ演奏指導と劇中演奏など、映画音楽にも深く関わっています。『おくりびと』で使用された弓は柏木モデルであり、この経験をきっかけに本木雅弘はチェロを趣味として始めることになりました。

2018年には映画『きらきら眼鏡』のエンディングテーマとして『Reminiscence ～回想～』を葉加瀬太郎＆西村由紀江とのコラボで発表し、2019年には映画『雪の華』のサウンドトラックを担当するなど、その活動は多岐に渡ります。

また、南日本放送、NHK、テレビ朝日、トヨタ自動車など、様々なメディアや企業への楽曲提供も行い、NHK大河ドラマ『篤姫～篤姫紀行』のテーマ演奏など、映像音楽の世界にも広く貢献しています。

越田太郎丸、西嶋徹、則竹裕之、青柳誠らとインストゥルメンタル・ユニット『森』としても活動し、光田健一とのデュオ・ユニット『二人旅』ではアルバム『Partiend』『MAJESTIC』をリリース、毎年20公演を超える全国ツアーを行うなど精力的な活動を続けています。

2019年には葉加瀬太郎、西村由紀江とのトリオ『NH&K TRIO』を結成し、2023年にはトリオとしての1stアルバム『Adagio』を発表、第38回日本ゴールドディスク大賞「インストゥルメンタル・アルバム・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど、その音楽活動は高い評価を得ています。

人間の声に最も近い音色を持つと言われるチェロを、卓越した技術と豊かな感性で操る柏木広樹は、まさに唯一無二のチェリストと言えるでしょう。その活動は、これからも音楽界をさらに彩り続けることでしょう。

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