柳瀬志郎

柳瀬 志郎（やなせ しろう）

日本の俳優、柳瀬志郎は、1930年2月16日に群馬県に生を受け、2021年1月4日にその生涯を終えました。享年90。本名及び旧芸名は萩志郎として知られています。主に昭和期の日活作品を中心に活躍し、日本映画史に足跡を残しました。

俳優としてのキャリアは、日活ニューフェイスの第2期生としてスタートしました。同期には、後の日活アクションを牽引する多くのスターがいましたが、柳瀬もその中で頭角を現します。

特に注目を集めたのは、石原裕次郎の出世作として知られる1957年公開の映画『嵐を呼ぶ男』での共演でした。この作品で柳瀬が見せた都会的で洒脱な演技は、観客や批評家から高い評価を受けました。以降、彼は日活の主要な俳優の一人として、青春映画、アクション映画、任侠映画など、多岐にわたるジャンルの作品に出演を重ねます。

主演だけでなく、助演者としてもその才能を発揮しました。1962年の映画『男と男の生きる街』では、一転して渋みのある演技で存在感を示し、脇役としての実力も証明しました。この作品は、後年制作されたテレビドラマ『僕と彼女の生きる道』にインスピレーションを与えたと言われています。

柳瀬志郎の魅力は、軽妙洒脱な一面と、苦みばしった渋い一面という、対照的な役柄を演じ分けることができる幅広さにありました。これにより、作品に深みと彩りを与える重要な役割を担いました。

彼の出演作品は非常に多く、日活黄金期から斜陽期にかけて、数多くの名作に名を連ねています。

主な出演作品（映画）

地底の歌 (1956年)
嵐を呼ぶ男 (1957年)
俺は待ってるぜ (1957年)
風速40米 (1958年)
錆びたナイフ (1958年)
完全な遊戯 (1958年)
鉄火場の風（1960年）
霧笛が俺を呼んでいる（1960年）
拳銃無頼帖 電光石火の男 (1960年)
すべてが狂ってる (1960年)
上を向いて歩こう (1962年)
花と竜（1962年）
関東無宿（1963年）
男の紋章（1963年）
アカシアの雨がやむとき（1963年）
河内ぞろ 喧嘩軍鶏 (1964年)
鉄火場破り（1964年）
俺たちの血が許さない（1964年）
刺青一代（1965年）
拳銃無頼帖 流れ者の群れ（1965年）
闘牛に賭ける男 (1965年)
マカオの竜 (1965年)
河内カルメン (1966年)
二人の世界 (1966年)
日本仁侠伝 血祭り喧嘩状 (1966年)
東京市街戦 (1967年)
黄金の野郎ども (1967年)
七人の野獣（1967年）
波止場の鷹 (1967年)
忘れるものか (1968年)
嵐の果し状 (1968年)
代紋 男で死にたい (1969年)
やくざ番外地 (1969年)
女の警察 国際線待合室 (1970年)

主な出演作品（テレビドラマ）

火曜日の女シリーズ / いとこ同志（1972年、NTV）
「水滸伝」 （1973年、NTV / 国際放映）

日活を中心に数多くの映画に出演し、その個性的な演技で作品世界を彩った柳瀬志郎は、日本映画の多様性を支えた貴重な存在でした。彼の出演作は、今もなお多くの映画ファンに親しまれています。

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