柳生友矩

柳生友矩（やぎゅう とものり）

柳生友矩は、江戸時代前期において徳川将軍家に仕官していた旗本であり、その通称は左門または刑部です。彼は父に柳生宗矩を持ち、異母兄弟には著名な剣豪である柳生三厳（十兵衛）、同じく異母弟の柳生宗冬、そして列堂義仙が存在します。友矩は庶子として生まれ育ちましたが、剣術に秀でていたことから、将軍家からの寵愛を受けました。

生涯と略歴

友矩は慶長18年（1613年）、現在の奈良市柳生町にて生まれました。彼は若いころから家光に仕え、その小姓となったのは寛永4年（1627年）である。寛永11年（1634年）には家光の上洛に同行し、その後もしばしば職務を通じて将軍に仕え続けました。友矩は同年の夏に徒士頭に任じられ、父と同様の従五位下刑部小輔に叙任され、さらには相楽郡の領地を与えられるなど、将軍から厚遇を受けていました。しかし、彼は健康を害して職を辞し、その後父の封地で静養していたものの、寛永16年（1639年）にわずか27歳でこの世を去りました。彼の墓所は奈良市の芳徳寺にあります。

友矩の死後、異母弟の宗冬は彼の菩提を弔うため、友矩の居館を創始して一寺とし、さらに遺領の南大河原に十輪寺を建立しました。

人物像

柳生家の家譜である『玉栄拾遺』には、友矩が当時の人々から将来の重臣になり得ると評価されていた記録があります。その一方で、「無双文才に富み、新陰の術に長けた」とも評されています。友矩は家光からの寵愛を受け、13万石（または4万石とも）を与えられる旨の御墨付きを受けたとも言われますが、これには異論も存在します。彼自身は早世したため、武術書などの文献を残しておらず、彼の兵法観については異母弟宗冬の著作の中に記された対話からのみ知ることができます。

フィクションにおける描写

柳生友矩は27歳でこの世を去ったことから、フィクション作品では「悲劇の美男」として多くのアレンジが施されています。特に、徳川家光との関係性や、その死に関する逸話にはさまざまな解釈が持たれています。時には衆道の関係が背景に設定される作品もあり、多くの作家が彼の最期を独自に描写しています。

たとえば、山岡荘八の小説『柳生宗矩』では、友矩はその美貌を破壊され、隠棲を余儀なくされる一方、五味康祐の短編小説『堀主水と宗矩』では斬られて命を落とします。また、隆慶一郎の連作短編『柳生非情剣』では兄との対決が描かれ、荒山徹の『柳生大戦争』では彼の死を巡る陰謀が展開されます。映画や劇画でも、友矩は主に若手のアクション俳優が演じる役所として登場し、そのキャラクターは多様な解釈を受けています。

これらの解釈や描写は歴史的な事実とは異なることも多く、友矩自身は歴史学的に深く研究されることが少ない人物であるため、フィクションの中で自由に扱われています。彼の存在は、時に伝説の影を持ちながら作品の中で生き続けています。

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