柴山沼

柴山沼：歴史と自然が織りなす埼玉県白岡市の宝

概要

埼玉県白岡市北西部に位置する柴山沼は、元荒川の氾濫と浸食作用によって形成された、埼玉県内でも有数の広さを誇る自然沼です。かつては「後沼」や「前沼」といった呼び名で親しまれ、周辺の水田への灌漑用水として重要な役割を果たしてきました。その歴史は古く、周辺地域の人々の生活と密接に結びついています。

歴史と変遷

1728年（享保13年）、柴山沼の一部は干拓されましたが、中央部は未開発のまま残されました。1856年（安政3年）の『沼絵図』には、沼の周囲に掘り上げ田と思われる農地が描かれています。明治時代に入ると、皿沼の開発に続き、柴山沼周辺でも掘り上げ田の開発が盛んに行われました。これらの掘り上げ田は「ヌマタ」、掘り潰れた部分は「ホッツケ」や「アイダボリ」と呼ばれ、舟着場があった場所を「シッテ」と呼んでいました。

沼の上流側には、百本杭と呼ばれる多くの杭が沼底に打ち込まれている地点があります。これは、かつての干拓計画の名残と考えられており、計画は未完成に終わったものの、杭だけが現在も残されています。

農業用水としては、株脇堀、ドブ落、カネツカ落などの排水を利用し、沼の下流に設けられた「沼落堰」によって水位を調節していました。しかし、大雨時には排水不良となり、水田が冠水する被害も発生しました。1948年（昭和23年）のカスリーン台風では大きな被害を受けました。

その後、1977年（昭和52年）からの埼玉県営圃場整備事業により、沼の面積は縮小され、周囲の掘り上げ田は乾田化されました。1992年（平成4年）からは、埼玉県営水環境保全事業によりビオトープ整備などが行われ、現在では自然と人々が共存できる空間として再生されています。

現在の柴山沼

現在、柴山沼はビオトープ、駐車場、トイレ、水門などが整備され、多くの釣り人が訪れる人気の釣り場となっています。周辺には、白岡市立大山小学校、大山民俗資料館、稲荷神社、宝鏡寺などの施設があり、地域住民の生活に密着した場所となっています。

柴山沼の役割

柴山沼は、単なる自然沼ではなく、灌漑用水、防災施設、そして人々の憩いの場として、多様な役割を担ってきました。歴史と自然が織りなす柴山沼は、白岡市の貴重な財産であり、これからもその役割を守りながら、未来へと繋いでいくことが重要です。

アクセスと周辺情報

所在地：〒349-0201 埼玉県白岡市柴山・荒井新田

周辺には国道122号も通っており、アクセスも良好です。歴史的な建造物や自然豊かな環境も楽しめる場所として、多くの観光客にも魅力的なスポットとなっています。

参考文献

白岡町史編さん委員会 編集 『白岡町史　民俗編』、白岡町、平成2年3月27日 発行
「角川日本地名大辞典」編纂委員会『角川日本地名大辞典 11 埼玉県』角川書店、1980年7月8日

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