柵造

柵造について

柵造（きのみやつこ、さくぞう）は、7世紀の日本において辺境の城柵を管理していた地方官のことを指します。この役職は、主に高志国（越国）に設置されていた城柵に関連し、658年には阿倍比羅夫の遠征に対する功労者として数名の柵造が記録されていますが、その実態や存続期間については不明な点が多く残っています。

日本書紀に見る柵造の役割

日本書紀の記述によると、斉明天皇4年（658年）7月4日において、複数の柵造が確認されており、これは柵造に関する貴重な史料となっています。この年代に、都岐沙羅柵造には位2階が、渟足柵造の大伴君稲積には小乙下の位が与えられたとされています。この記録から、当時の官職の位置づけや地域の政治的な動向を知る手がかりとなります。

渟足柵の所在地と意味

渟足柵は、後の越後国沼垂郡（現在の新潟県新潟市）に位置していたと考えられ、この時期には高志国に属していたとされています。一方の都岐沙羅柵については、やはり高志国に関連しているものの、具体的な所在地については不詳です。これらの城柵は、当時の防衛戦略や地域統治の重要な役割を果たしていたと推測されます。

柵造の位とその意義

当時施行されていた冠位十九階において、位2階が小乙下、位1階が立身に相当するとされています。このことから、柵造は地域社会における有力者としての位置づけが示唆されます。特筆すべきは、大伴君稲積という名前が知られている柵造です。彼は有力中央豪族の一員でなく、むしろ地方豪族によく見られるカバネを持っていました。このことは、当時の地方政治の複雑さを物語っています。

広がる城柵の治世

8世紀以降の城柵は、中央から派遣された国司によって統治が行われましたが、柵造が活動していた時期の支配体制は、これとは異なる形で成立していたと考えられます。このため、柵造は当時の地方政治や行政において重要な役割を担っていたと推察されます。

おわりに

柵造という役職は、7世紀の日本における地方の行政と防衛体制を理解するために欠かせない存在です。彼らがどのように地域を治めていたのか、その詳細は今後の研究によって明らかにされることが期待されます。豪族の影響や地方の特性を考慮に入れることで、当時の日本社会をより深く理解する手助けになるでしょう。

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