栄章

栄章：日本の公的表彰における記章制度

栄章とは、日本において、国や地方公共団体、公共機関、公益法人などが、職員や市民の功績や善行を表彰するために授与する記章です。勲章や褒章に準ずる栄誉と位置づけられる場合が多く、英語ではmedalと訳されますが、褒章のような正式な栄典とは区別されます。

名称の多様性

「栄章」という呼称は、国レベルでは用いられておらず、地方公共団体や公益法人が独自に使用している名称です。国の表彰においても、「表彰記章」や「記章」など、統一された呼称はありません。防衛省所管の公益社団法人隊友会は、過去に自衛隊への栄章（従軍[[記章]]）新設を要望した例もあります。その他、顕彰章、表彰徽章、栄誉記章など、様々な名称が用いられています。本稿では便宜上「栄章」と表記します。

栄章の概要

栄章の形状は、勲章式、略綬式、楯式、杯式、布式など様々です。授与時には、章記や表彰状、感謝状が添えられるのが一般的で、記念章が一緒に贈られる場合もあります。栄章は直接的に栄典制度と関係はありませんが、記章を伴う表彰という点で勲章・褒章と類似しており、大臣表彰や長官表彰など、上位の表彰に位置づけられることが多いです。

地方公共団体では、都道府県の褒賞や栄誉章、市町村長表彰の優良章、功労章などがこれに当たります。公益法人による授与例もあり、国や公共機関と共同で授与されるケースもあります。学校法人や宗教法人でも、寄付者への功労章授与例が見られます。

重要な点として、勲章や褒章は、外国からの叙勲を除き、現職公務員が受章することは稀ですが、栄章は現職在任中の受章と佩用が認められることが多いです。民間人の受章や佩用には制限はありませんが、未受章者が法令で定められた記章を佩用することは違法となります。

日本の栄章の代表例

以下、中央省庁、地方公共団体、公益法人などの栄章の代表例を示します。詳細な内容は、それぞれの機関の規定を参照ください。

中央省庁等

法務省: 保護司特別功労章
厚生労働省: 卓越技能章、民生委員・児童委員功労章
防衛省: 特別防衛功労章、第一級～第五級防衛功労章、防衛記念章
海上保安庁: 海上保安勲功章、海上保安功績章、海上保安発明考案章、表彰記念章
警察庁: 警察勲功章、警察功労章、警察功績章、警察協力章、防犯栄誉章、暴力追放栄誉章、交通安全栄誉章
消防庁: 消防庁長官表彰功労章、消防庁長官表彰特別功労章など多数
消費者庁: ベスト消費者サポーター章

地方公共団体

都道府県民栄誉章、文化栄誉章、名誉市民章など、多様な栄章が存在します。市町村レベルでも、市長章、社会貢献章、ボランティア活動功労章などが制定されています。

消防団

消防団は、多くの栄章・表彰記章を授与する機関です。消防庁、消防本部、消防協会などが、勤続年数や活動姿勢などを評価して授与します。殊勲章、栄誉章、功労章、功績章、優良章など、名称は多様です。退職者への名誉消防団長章、名誉消防団員章なども存在します。

認可法人

日本赤十字社: 日本赤十字社金色有功章、日本赤十字社銀色有功章、特別社員章など。寄付額や献血回数に応じて授与されます。
日本水難救済会: 日本水難救済会名誉総裁章など
大日本農会: 大日本農会紫白綬有功章など

その他、公益法人、民間団体などでも、独自の栄章を授与する例があります。これらの栄章は、称号を伴う場合もあります。

注意事項

民間団体による栄章の中には、賞の売買といった問題点が指摘されているものもあるため、注意が必要です。栄章の授与基準や制度については、各機関の公式情報を必ず確認するようにしましょう。

もう一度検索