根岸信五郎

根岸 信五郎の生涯

根岸信五郎（ねぎし しんごろう、1844年 - 1913年）は、明治期に活躍した剣術家であり、神道無念流の流派に属していました。彼は大日本武徳会の剣道範士の称号を持ち、剣道界の発展に大きく貢献しました。彼の本名は資剛です。

生い立ち

信五郎は、新潟県の越後長岡藩家老・牧野頼母の庶子として生まれましたが、同藩の町奉行の家に養子に入ります。彼は8歳から剣術の学びを始め、武道の道に足を踏み入れることになります。

練兵館での修行

信五郎は1863年、藩主の牧野忠恭に命じられ、江戸での剣術修行を開始しました。彼は、神道無念流の道場「練兵館」に入門し、ここで斎藤新太郎から指導を受けました。1865年には免許皆伝を授与され、同時に師範代に任ぜられました。

戊辰戦争での活躍

帰藩後、信五郎は戊辰戦争に参加し、特に北越戦争で剣術隊の長として奮闘します。新政府軍との戦いでは、長岡城の奪回に成功し、重傷を負いながらも生還しました。実戦を通じて彼が知った武道の厳しさについて、後年、彼は非常に困難な心境を述懐しています。

明治維新以降の活動

1873年には浅草で行われた撃剣興行に参加し、1883年には警視庁主催の大会で川原則明に勝利するなど、彼の武道界での地位が確立していきました。1885年には自身の道場「有信館」を設立し、剣道界において重要な存在となりました。この道場は、後の剣道の発展に寄与することになります。

警察での経歴と教育

信五郎は警視庁に転じた後も、剣道の振興に努め、1894年には大日本武徳会の祭典で評価を受けました。彼は慶應義塾の剣術部の師範としても指導を行い、多くの弟子を育成しました。

晩年と経歴の締めくくり

晩年には剣道形調査委員に選ばれ、剣道形の制定にも尽力しました。彼の指導の下で成長した中山博道を養子として迎え入れ、道場を託しました。信五郎は生涯を通じて剣道に情熱を注ぎ、教えは多くの弟子に引き継がれました。

彼は1913年に70歳で亡くなり、法名は有信院殿顕揚祖道無念大居士というものでした。彼のお墓は東京都港区南麻布にあります。

著書とその内容

信五郎は1884年に『撃剣指南』を出版し、剣道に関する技法を段階的に解説しました。また、弟子によって記録された『根岸信五郎先生遺稿 剣道講話録』では、剣道の基本や理について分かりやすく述べられています。

このように根岸信五郎は、明治期の剣道において重要な役割を果たし、今日まで続く日本の武道の基盤を築いた偉大な剣術家でした。

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