桂千朝

桂千朝：正統派の芸風とユーモラスな魅力を併せ持つ上方落語家

桂千朝は、1956年2月22日、大阪市東淀川区淡路で生まれました。大阪市立扇町高等学校卒業後、剣道2段の腕前を持つ多彩な人物です。現在は米朝事務所に所属し、落語家として活躍しています。出囃子は「本調子鞨鼓」です。

1974年1月、桂千朝は3代目桂米朝に入門。同年4月、京都府京都市東山区の安井金比羅会館で行われた「桂米朝上方落語研究会」で初舞台を踏みました。入門のきっかけは、以前出演した『素人名人会』での名人賞受賞でした。受賞を機に、千朝は自ら米朝に弟子入りを直訴し、入門が実現したのです。

同期には、桂吉朝、桂小枝といった落語家だけでなく、明石家さんま、島田紳助、オール阪神・巨人、関根勤といった著名なタレントも含まれていました。華やかな同期と共に、落語家としての道を歩み始めたのです。

桂米朝は、千朝を高く評価していました。千朝は、同時期に入門した桂吉朝、桂米八と比較しても、内弟子修行を「一番きっちりした」と評されるほど真面目で努力家でした。さらに、ネタの覚えの速さも群を抜いており、その真面目さと実力を買われ、米朝のレコードや著書の校正も任されるほど信頼された弟子でした。

しかし、千朝のキャリアには、経済的な理由による6年間の廃業期間がありました。この期間を経て、再び落語の世界に戻り、現在も活躍を続けています。

桂吉朝とは、漫才を演じたこともあります。演目は、中田ダイマル・ラケットや漫画トリオの物まねが中心でした。これは、あくまで特別な場での余興的なものであり、千朝が本格的に漫才師として活動していたわけではありません。

桂千朝の芸風は、古典落語を基調とした正統派です。米朝一門らしい端正で落ち着いた芸風は、多くの観客を魅了してきました。持ちネタも豊富で、『立ち切れ線香』『鴻池の犬』『景清』といった古典落語から、『まめだ』『一文笛』『除夜の雪』といった新作落語まで幅広く演じます。新作落語においても、古典落語の味わいを引き継いだ作品を得意としています。

一方、演じる落語の前に話す枕の部分では、とぼけたユーモアを見せる一面も持ち合わせています。正統派の落語とユーモラスな枕の絶妙なバランスが、千朝の大きな魅力となっています。

桂千朝の芸歴は、順風満帆ではありませんでしたが、持ち前の真面目さと実力で数々の困難を乗り越え、現在も第一線で活躍し続けています。古典落語の伝統を守りつつ、独自のユーモアを織り交ぜた彼の落語は、これからも多くの人々を魅了し続けることでしょう。

参考文献

廓正子『なにわ華がたり 中川絹子 桂米朝と一門をささえた半世紀』淡交社、2004年7月、ISBN 4-473-03182-9
桂米朝『米朝よもやま噺』朝日新聞社、2007年12月

関連項目

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上方落語

外部リンク

桂　千朝｜プロフィール｜株式会社米朝事務所
桂 千朝｜上方落語家名鑑｜上方落語協会

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