桂春団治 (初代)

初代 桂春団治について

概要

初代桂春団治（かつら はるだんじ、1878年8月4日 - 1934年10月6日）は、日本の上方落語の重要な落語家であり、特にその独自のスタイルで多くの笑いを提供したことで知られています。彼は、古典的な落語にナンセンスなユーモアを融合し、斬新な改作を行いました。その結果、春団治は「爆笑王」として名を馳せ、戦前の上方落語界でスーパースター的な存在に成長しました。また、彼はレコードへの落語の録音でも先駆的な役割を果たしました。

生い立ちと家族

春団治は、大阪市中央区高津町で生まれ、父は染皮細工業者として生計を立てていました。彼は4人兄弟の末っ子で、弟子の影響で自身の出生にまつわる逸話を語ることもありました。その中で、彼は生まれた場所についての迷信や自身の成り立ちについて語り、大変ユーモラスに振る舞っていました。本名は皮田藤吉ですが、後に妻との結婚をきっかけに岩井藤吉と名乗るようになりました。

キャリアの始まり

彼の落語のキャリアは1895年に始まり、初代桂文我に入門し、桂我都と名乗りました。後に桂春団治に改名し、人気はますます高まりました。法善寺筋の紅梅亭などでの実演により彼の名声は急速に広まり、1914年には真打に昇進しました。その過程で、何度も他の流派に移るなどして個人のスタイルを確立しました。

笑いのスタイル

春団治の芸風は、古典落語に新しい視点を持ち込み、独特のだみ声や早口の話し方、そしてギャグを駆使していました。彼の演じたネタには『いかけ屋』や『うなぎ屋』などがあり、特にSPレコードにその音源が残されています。彼は寄席のスタッフに変装して観客が求める情報を収集するなど、新しい試みを行い続けました。彼のスタイルは時には「邪道」と批判されることもありましたが、そのユーモアと才能は多くの人々に支持されました。

私生活と人柄

春団治の私生活は多くの逸話に彩られています。彼は大胆な行動や突飛な振る舞いで知られ、時には借金を抱えることもありました。結婚に関しては、二度の結婚を経て、彼の後妻は大きな資産を持っていましたが、彼はその資産を浪費しながらも、常に楽しむことを優先する生活を送っていました。

晩年と死

彼の人生は胃癌との闘病に終わりますが、その間もユーモアを失わず、周囲の人々を笑わせ続けました。晩年には、自身が名付けた若い弟子へのバトンタッチの計画もありましたが、叶うことはありませんでした。彼は1934年にこの世を去り、一心寺にて骨仏として葬られました。その後の戦争による空襲で、その遺骨は失われましたが、彼の影響は今でも多くの落語家や文化に引き継がれています。

影響と評価

春団治のスタイルや生き方は、関西の 「破滅型天才芸人」の典型としての位置づけをされており、後に続く多くの芸人たちに影響を与えました。彼から受けた刺激は、次世代の落語家たちのスタイルに組み込まれ、今もなお受け継がれています。

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