桃色争議

桃色争議（ももいろ そうぎ）

桃色争議は1933年に発生した労働争議で、当時松竹少女歌劇部や松竹楽劇部という、今でいう歌劇団内での出来事でした。この争議は、水の江瀧子というトップスターが中心となり、彼女にちなんで「ターキー・ストライキ」とも呼ばれました。

背景

1932年、松竹は映画の音声技術の進化により、映画活弁士や楽士の待遇改善を求める闘争で一定の成功を収めていました。しかし、翌年の1933年には松竹少女歌劇部に対して楽士の解雇や全員の賃金削減が通告され、労働環境が急激に厳しくなりました。

声を上げた少女たち

特に少女歌劇部では、6月14日に少女部員が集まり、松竹の決定に対する反対の意思を表明し、当時18歳のトップスター水の江瀧子を争議委員長に任命しました。彼女たちは、神奈川県の湯河原温泉郷にある大旅館に立てこもり、抗議活動を展開しました。この行動は、松竹側に強い圧力をかけるものとなりました。

津阪織江という副委員長も加わり、彼女たちは闘争の継続を決意しましたが、会社側からの妨害工作もあり、内部での意見の対立が生じました。津阪は会社の側につくことを選び、逃げた部分もありました。

大阪での展開

一方で、大阪においても松竹楽劇部が争議を起こしました。待遇の改善を求めた要求が拒否されたことから、楽劇部員たちが舞台を放棄し、ストライキを展開しました。人気のあった飛鳥明子を争議団長に据え、彼女たちは高野山に立てこもって「トラスト反対」と演説するなど、目を引く活動を行いました。

結果と影響

この時、松竹は水の江を「賊女」と呼び、懲戒[[解雇]]を決定しました。しかしながら、未成年でありながら広く知られたスターであった彼女の存在が、世論の同情を呼び起こし、松竹の支持は次第に弱まりました。

争議が進む中で、観客動員数が減少し、松竹にとっては大きな打撃となり、新たな敵である宝塚少女歌劇団の人気を助長する事態にまで発展しました。

最終的に、7月8日には大阪で和解が行われ、7月15日には東京で合意文書が発表されました。水の江は謹慎処分となり、飛鳥も退団しましたが、労働条件の改善、具体的には週休制と最低[[賃金]]の設定に成功しました。これにより、争議団側は勝利を収めたと言えます。

参考文献

• - 『記録現代史』筑摩書房

関連人物

• - 小倉みね子：松竹の要求を受け入れ、組合を除名。
• - 西条エリ子：争議に参加せず、組合を除名。
• - 江戸川蘭子：争議指導者として謹慎処分を受け、復帰。
• - 三浦たま子：争議を契機に歌劇部を離れ、堺駿二と結婚。
• - 森寅雄：社会部記者として桃色争議を取材。

この桃色争議は、労働運動の中でも特に女性や若者の声が権利を求めて大きく響いた出来事として記憶されており、その影響は後の時代へと受け継がれていくこととなります。

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