堺駿二

堺 駿二について

堺 駿二（さかい しゅんじ、1913年12月10日 - 1968年8月10日）は、東京都出身の著名なコメディアンおよび喜劇俳優であり、本名は栗原 正至です。彼の家系はエンターテインメントとの結びつきが強く、実兄には浪曲師の初代港家小柳丸、そして次男にはマルチタレントの堺正章がいます。また甥には太神楽曲芸の鏡味繁二郎がいることからも、芸能一家の一員として知られています。

生い立ちと初期の経歴

堺は東京市本所区の桶製造業を営む家庭に生まれ、8人兄弟の3男として育ちました。彼の母親は芝居好きで、その影響を受けて堺は尋常小学校を中退し、11歳で新派の伊村義雄一座に加わります。ここで彼は小村正雄という芸名を名乗り、子役として活躍しました。当時から彼は殺陣や女形を演じる才能を持ち、将来は伊村からの養子も期待されていました。また、1932年には早川雪洲の一座に参加し、「堺駿二」という名を授かります。この名前は、「雪洲と栗原の間に境を作りたい」という雪洲の思惑から生まれました。

若年期の変遷

1935年、堺は浅草オペラ館のヤパンモカル劇団に参加し、清水金一と共に活動を開始。1940年には東宝専属となった清水が移籍すると、堺は俳優を辞め、しばらく伊東の温泉旅館で働くも長続きせず、その後山梨県で玩具屋を開業しましたが、こちらも長くは続きませんでした。

吉本興業時代

1942年に東宝から清水に誘われて、吉本興業に参加。そこで清水や田崎潤と共に新生喜劇座を結成し、全国的に人気を博しました。しかし新生喜劇座は長続きせず、1943年には水の江瀧子の劇団に参加。その後、1944年に出征し、終戦を横須賀海兵団で迎えました。

映画デビューと松竹時代

戦後の1946年、堺は松竹に入社し、短編映画「破られた手風琴」で主役に抜擢され、映画界に再び進出しました。この作品以降も数本のシミキン映画に出演し、再び清水と共演を果たしました。堺のキャリアはここから大きく飛躍します。

フリー転身と華やかな活躍

1952年にフリーとなった堺は、現代劇や時代劇を問わず、バイプレイヤーとしての地位を確立しました。特に1950年代半ばには年20本ほどの映画に出演し、自邸を鎌倉に新築するほどの成功を収めました。多くの作品でお婆さん役を演じたことが当たり役となり、観衆に笑いを届けました。

晩年と突然の死

しかし、1968年8月10日、新宿コマ劇場での公演中に脳溢血により急死するという悲劇が訪れました。わずか54歳での突然の死は、喜劇界に大きな衝撃を与え、彼の人柄や演技に対する姿勢は多くの後輩たちに影響を与えることとなりました。彼の墓所は多磨霊園にあります。

堺駿二は、幅広い才能とエンターテインメントに対する情熱で、観客の心に深く刻まれる存在だったのです。

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