桐生新町

桐生新町：歴史と文化が息づく街並み

桐生新町は、群馬県桐生市本町と横山町に位置する、かつての上野国山田郡に存在した町です。この地は、江戸時代には桐生領の中心地として発展し、現在ではその歴史的な景観が評価され、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。また、「かかあ天下－ぐんまの絹物語－」の構成文化財として日本遺産にも認定されており、その文化的価値は広く認められています。

桐生新町の概要

桐生新町は、桐生川の渓口に位置し、山田郡荒戸村と久保村の一部を割いて建設されました。当初は荒戸新町と呼ばれていましたが、後に桐生新町と改称されました。桐生織の産地として知られる桐生地域は、両毛機業地帯の中心地として繁栄し、現在も町立て当初の地割りが残っています。町には、町屋、土蔵、鋸屋根の織物工場など、多様な建造物が点在しており、当時の繁栄を偲ばせます。

桐生新町の歴史

桐生の地は、天正18年（1590年）に徳川氏の領地となりました。それ以前は由良氏の城下町でしたが、手狭であったため、新たな町を建設する計画が持ち上がりました。徳川氏の代官であった大久保長安の命を受け、大野八右衛門によって天正19年（1591年）から慶長11年（1606年）にかけて段階的に建設が進められました。

町の建設

天正19年（1591年）には、久保村から下瀞堀に通じる街道が拡張され、その両側に短冊状の町割りが設けられました。これが新町一丁目・二丁目となり、隣接する丘陵地には陣屋が設けられ、桐生陣屋と新町を結ぶ通路に沿って横町（現在の横山町）が建設されました。また、久保村にあった梅原天神社（桐生天満宮）が赤城ノ森に移されるなど、町並みが整備されました。

慶長10年（1605年）には、南の下瀞堀まで町割りが拡張され、三丁目から六丁目が建設されました。新宿村にあった浄運寺が六丁目に移され、慶長11年（1606年）に新町が完成しました。

市場町としての発展

桐生新町は、市場町として発展しました。天満宮境内で開かれていた絹市は、元禄2年（1689年）からは三丁目の市神社境内でも開かれるようになり、元文3年（1738年）に京都から高機が伝わり、複雑な紋様を特徴とする「飛紗綾」が織られるようになると、新町で開かれる絹市は「紗綾市」と呼ばれ、関東有数の絹市として発展しました。

近代以降

明治22年（1889年）の町村制施行に伴い、桐生新町は新宿村、安楽土村、下久方村、上久方村平井と合併して桐生町となりました。現在も、桐生新町には歴史的な建造物が数多く残されており、往時の面影を偲ぶことができます。これらの建造物は、桐生の織物産業の隆盛を物語る貴重な遺産として、大切に保存されています。

桐生新町は、日本の近代化を支えた織物産業の歴史と文化を伝える貴重な場所です。その美しい街並みを歩けば、まるで時代を超えた旅をしているかのような感覚を味わえるでしょう。

参考文献

• - 『桐生の歴史』（桐生文化史談会）昭和58年（1983年）
• - 『ふるさと桐生のあゆみ』（桐生市教育委員会）平成10年（1998年）

関連項目

• - 本町 (桐生市)
• - 横山町 (桐生市)

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