桑乾河

桑乾河：かつて豊かな流れはなぜ涸れてしまったのか

桑乾河（そうかんが、Sānggān hé）は、中国の山西省北部から河北省西北部にかけて流れる河川で、海河水系に属しています。北京市西部を流れる永定河の主要な支流であり、かつては豊かな水量で知られていました。

桑乾河の名前の由来

「桑乾」という名前は、毎年桑の実が熟す頃になると川が涸れることに由来すると言われています。また、興味深いことに、永定河は隋の時代には桑乾河と呼ばれていた歴史もあります。

文学にも登場する桑乾河

桑乾河は、唐代の詩人である賈島（かとう）の「度桑乾」という詩や、近代の小説家である丁玲（ていれい）が1948年に発表した代表作『太陽照在桑乾河上』の舞台としても知られています。これらの作品を通じて、桑乾河は文化的な象徴としても重要な役割を果たしてきました。

桑乾河の地理

桑乾河は、山西省北部を流れる元子河と恢河が朔州市で合流し、桑乾河となります。その後、大同市を経由して河北省北部の張家口市懐来県に入り、朱官屯で洋河と合流して永定河となります。永定河は官庁ダムを経て北京市西部を流れ、最終的には海河を通じて渤海に注ぎます。全長は506km、流域面積は23,900平方kmに及びます。主な支流には、壺流河、御河、渾河などがあり、本流には冊田ダムが建設されています。

深刻な涸れ川問題

華北地域や中国全体で水不足や河川の枯渇が深刻な問題となっていますが、大同などを流れる桑乾河も例外ではありません。特に1997年以降、ほとんど涸れ川となってしまっている状態です。この深刻な状況の背景には、以下のような複合的な要因が考えられます。

上流の植生破壊と砂漠化： 上流地域の森林伐採や過放牧によって植生が破壊され、砂漠化が進行しました。これにより、土壌の保水力が低下し、河川への水の供給が減少しました。
ダム建設の影響： 上流にダムが建設されたことで、ダムから下流への水の流れが遮断され、河川の水量が大幅に減少しました。
* 地下水の過剰な汲み上げ： 農地灌漑や都市用水のための地下水の過剰な汲み上げにより、桑乾河への地下水からの補給がほとんどなくなりました。

これらの要因が複合的に影響し、桑乾河はかつての豊かな流れを失い、深刻な涸れ川となってしまいました。この問題は、単に桑乾河だけの問題ではなく、中国全体における水資源管理のあり方や環境保護の重要性を示唆しています。


桑乾河の現状は、私たちに水資源の持続可能な利用や環境保護の重要性を改めて問いかけています。この美しい河が再び豊かな流れを取り戻すためには、抜本的な対策が必要とされているのです。

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