桑野等

桑野 等：地方競馬を駆け抜けた名手

桑野 等（くわの ひとし）は、1964年2月9日、石川県で生まれた元地方競馬騎手です。彼の家族は、まさに競馬一家。父は調教師、兄は厩務員、弟は装蹄師という環境で育ちました。この環境が、桑野の騎手としての道を決定づけたと言えるでしょう。

1984年6月23日、金沢競馬場で騎手としてデビュー。初勝利はそれから約2週間後の7月9日でした。デビュー当初から持ち前の才能を発揮し、3年目の1986年には重賞初制覇を飾ります。その後も活躍は続き、1989年には南関東から移籍してきたシナノジョージで百万石賞、白山大賞典を制覇するなど、数々の重賞競走で勝利を収めました。

1992年からは、中央競馬から移籍してきたキタシバスペインの主戦騎手として活躍。この馬は気性が激しく、乗りこなすのが難しい馬として知られていましたが、桑野は粘り強い努力と研究によってキタシバスペインとの信頼関係を築き上げました。その結果、百万石賞、北國王冠、そして遠征先の笠松競馬場で行われた全日本サラブレッドカップで優勝。彼の騎乗技術の高さを証明する大きな成果となりました。キタシバスペインとのコンビは、桑野にとって忘れられない思い出として現在も語り継がれています。

1993年には、中央競馬のトップジョッキーたちが参加する中央競馬騎手招待競走で優勝。地方競馬の騎手として、中央競馬の強豪たちを相手に勝利を収めたことは、大きな快挙でした。

1997年には通算1000勝を達成。その後も地方競馬で活躍を続け、2000年にはイセイチフブキでアラブ2大競走である春のアラブグランプリと北國アラブチャンピオンを制覇。さらに、2002年には一般公募で名前が付けられたシルバーブレットで重賞競走を勝利に導くなど、アラブ系の競走馬との相性も抜群でした。

2003年には通算1500勝を達成し、ゴールデンジョッキー競走では2着馬に5馬身差をつける圧勝。2004年には落馬事故による怪我で約1ヶ月のブランクを余儀なくされましたが、秋には74勝を挙げるなど、持ち前の実力を発揮し、リーディング3位まで順位を上げました。

2005年には落馬事故で右大腿骨と左脛骨を骨折する大怪我を負い、長期療養を余儀なくされます。しかし、持ち前の強い精神力で克服し、2006年に復帰。復帰後も数々の勝利を重ね、2008年にはマツノショウマで百万石賞を制覇、7月には通算1800勝を達成しました。

そして2011年12月27日、通算2000勝という偉業を達成。地方競馬史上86人目、現役では40人目の快挙でした。

その後も第一線で活躍を続け、2015年にはスプリングカップでナンディンに騎乗し優勝。2016年にはスマイリーキュートでサラブレッド大賞典を制覇し、重賞競走での最後の勝利を飾りました。

2017年12月27日、長年の騎手生活に幕を閉じました。通算成績は地方16774戦2218勝、勝率13.2％、連対率27.1％という素晴らしい記録を残しました。

桑野等の騎手人生は、多くの感動と興奮を与えてくれました。地方競馬の歴史に大きな足跡を残した、真の名手と言えるでしょう。彼の功績は、後世の騎手たちにとって、永遠の目標であり続けるはずです。

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