桜井徳太郎

桜井徳太郎

桜井徳太郎（さくらい とくたろう、1917年4月1日 - 2007年8月27日）は、日本の著名な民俗学者であり、駒澤大学の名誉教授を務めました。彼の専門分野は、シャーマニズム、民間信仰、他界観など多岐にわたり、日本の民俗学研究に多大な貢献をしました。

生涯

1917年、新潟県北魚沼郡川口町に生まれた桜井徳太郎は、東京高等師範学校文科第四部を1941年に卒業し、1944年には東京文理科大学文学部史学科を卒業しました。その後、東京高等師範学校の助教授として教鞭を執り始め、1961年からは東京教育大学文学部の助教授、1973年には教授へと昇進しました。東京教育大学では学位論文『地域社会における講の沈着過程の研』を提出し、文学博士の学位を取得しました。1977年には駒澤大学へ移籍し、教授として教鞭を執り、1983年には文学部長、1986年には学長を歴任しました。

1991年に駒澤大学を退任し名誉教授となられた後も、学界での活躍は続き、日本[[民俗学会]]代表理事や日本風俗史学会会長を歴任しました。1998年には日本宗教学会名誉会員、2000年には説話文学会名誉会員、2005年には日本[[民俗学会]]名誉会員となりました。2002年には、出身地である川口町の名誉町民（後に長岡市名誉市民）に推挙され、地域社会への貢献も高く評価されました。

2007年8月27日、桜井徳太郎は悪性リンパ腫のため90歳で逝去されました。生前は東京都板橋区に在住しており、所蔵していた貴重な書籍は、板橋区公文書館に「桜井徳太郎文庫」として寄贈され、後世の研究者にとって貴重な資料となっています。

受賞と栄典

桜井徳太郎の研究業績は高く評価され、数々の賞を受賞しています。

1961年：『日本民間信仰論』で東京文理科大学閉学記念賞を受賞。
1962年：『地域社会における講の沈着過程の研究』で第1回柳田賞を受賞。
1981年：紫綬褒章を受章。
1990年：勲三等旭日中綬章を受勲。
2002年：第12回南方熊楠賞を受賞。

研究内容と業績

桜井徳太郎は、民俗学の大家である柳田國男の晩年の門下生であり、その影響を深く受けています。彼は市井三郎、鶴見和子らと共に「思想の冒険」グループに参加し、近代化論研究や水俣の共同調査などにも積極的に関わりました。また、東京教育大学の古代史講座では、和歌森太郎と共に多くの研究者を育成しました。

2002年には、その多大な業績を称え、「櫻井賞」が創設されました。

著作

桜井徳太郎は、数多くの著作を世に送り出しており、その研究成果は多くの人々に影響を与えています。代表的な著作には以下のようなものがあります。

『昔ばなし 日本人の心のふるさと』
『日本民間信仰論』
『講集団成立過程の研究』
『民間信仰』
『死霊の誘い 民俗学への招待』
『神仏交渉史研究 民俗における文化接触の問題』
『日本人の生と死』
『宗教と民俗学』
『祭りと信仰 民俗学への招待』
『沖縄のシャマニズム 民間巫女の生態と機能』
『日本のシャマニズム 上巻・下巻』
『霊魂観の系譜 歴史[[民俗学]]の視点』
『日本民俗宗教論』
『結衆の原点 共同体の崩壊と再生』
『伝承の相貌 民俗学四十年』
『桜井徳太郎著作集』全9巻・別巻（総索引）
『民俗探訪』シリーズ
『私説 柳田國男』

これらの著作を通して、桜井徳太郎は、日本の民間信仰やシャーマニズム、他界観など、多岐にわたるテーマを深く掘り下げ、民俗学の発展に大きく貢献しました。

共編著

『日本の民俗 第4巻　人間の交流』
『心願の美』
『日本思想大系 20　寺社縁起』
『山岳宗教と民間信仰の研究』
『シャーマニズムの世界』
『日本宗教の複合的構造』
『民間信仰辞典』
『地蔵信仰』
『ハレ・ケ・ケガレ 共同討議』
『仏教民俗学大系3　聖地と他界観』
『日本社会の変革と再生 共同体と民衆』
『日本宗教の正統と異端 教団宗教と民俗宗教』
『日本民俗の伝統と創造 新・民俗学の構想』
『講座神道 第3巻　近代の神道と民俗社会』
『シャーマニズムとその周辺』

桜井徳太郎は、日本の民俗学研究において、その深い知識と熱意によって多大な貢献をしました。彼の業績は、今後も長く語り継がれることでしょう。

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