桜井省三

桜井省三（さくらい しょうぞう）

1889年（明治22年）6月27日、桜井祥造の二男として名古屋に生まれました。本籍は山口県萩市。彼は、愛知第四中学校、名古屋陸軍地方幼年学校、中央幼年学校を経て、1911年5月に陸軍士官学校（第23期）を卒業。同年12月、歩兵少尉に任官し、奈良の歩兵第53連隊に配属されました。

その後、参謀本部勤務などを経て、1919年11月には陸軍大学校（第31期）を優等で卒業。参謀本部員（船舶班）、フランス駐在、歩兵第41連隊大隊長、歩兵第77連隊長などを歴任しました。

1938年3月1日、陸軍少将に進級。陸軍運輸部付（中支碇泊場監）、第22歩兵団長、中支那派遣軍司令部付、第13軍参謀長などを経て、1940年12月2日には陸軍中将に昇進。

太平洋戦争開戦時は第33師団長としてビルマ攻略戦に従軍。1943年3月11日には陸軍機甲本部長に就任。1944年1月7日には第28軍司令官としてビルマ西南海岸防衛を担当。インパール作戦に連動して南ビルマで陽動作戦（第二次アキャブ作戦）を指揮しましたが、イギリス軍の堅固な防御と部下の花谷正の無謀な戦術、杜撰な補給計画が重なり大敗を喫しました。

しかし、インパール撤退後の防衛戦では、第15軍と第33軍が相次いで壊滅しラングーンが陥落した後も、第28軍を率いて絶望的な後退戦を指揮しました。「自滅も降伏もせず、どんなに苦しくとも敵の囲みを突破し脱出する」という方針のもと、シッタン作戦を敢行。この作戦により第28軍の全滅を回避しました。この時、第54師団長の宮崎繁三郎との連携は特筆すべきものでした。

終戦はモールメンで迎え、戦後1945年10月22日にラングーンへ出頭。同地の収容所へ入所しました。1946年4月12日にはビルマ北地区日本軍行政司令官に就任し、第28軍司令部の一部がその事務機能を担いました。

約2年間、将兵と共に質素なキャンプ生活を送り、1947年6月19日に引揚船「筑紫丸」で宇品港に帰国。同月末に復員しました。その後は、一切の公職や名誉職には就かず、慰霊追悼の日々を送りました。1948年1月31日には公職追放仮指定を受けました。

1985年7月7日、東京の大塚病院で老衰のため96歳で死去。戒名は蓮台院徳翁省悟大居士。墓所は多磨霊園にあります。

栄典

1896年（明治29年）12月21日 - フランス共和国レジオンドヌール勲章シュヴァリエ
1902年（明治35年）9月6日 – オーストリア＝ハンガリー帝国フランソワジョゼフ勲章シュヴァリエー

参考文献

福富繁『追悼軍司令官桜井省三』（シッタン会、1986年）
上条彰『ビルマの名将・桜井省三』（戦誌刊行会、1992年） ISBN 4-7952-6105-9

関連項目

ビルマの戦い
宮崎繁三郎

もう一度検索