桜小学校のオオアカガシ

桜小学校のオオアカガシについて

東京都世田谷区の桜小学校の校庭にそびえ立つオオアカガシは、樹齢約400年と推定される巨木です。この木は、アカガシの変種であり、東京都内では最大級のオオアカガシとして知られています。1972年には東京都の天然記念物に指定され、その価値が認められています。

特徴

このオオアカガシは、校庭の南東隅に位置し、球状の樹冠が特徴的です。樹頂は北側に傾き、一部欠損も見られますが、全体として樹勢は旺盛で、豊かな葉を茂らせています。樹高は約13.5メートル、幹周は約3.4メートルを測り、その大きさは都内でも有数です。

オオアカガシは、普通のアカガシに比べて葉がやや大きいのが特徴で、都内では荏原付近を中心とした狭い地域に生育しています。

歴史

桜小学校の場所は、かつて仙蔵院という寺院の境内でした。仙蔵院は、勝国寺の門徒で、宝光山と号し、新義真言宗に属していました。1872年の記録によると、境内の広さは1050坪ありましたが、無住の寺であったため、勝国寺の住職が兼務していました。当時、このオオアカガシは本堂の裏手に生育していました。

仙蔵院が廃寺となった後、1880年に桜小学校がこの地に移転しました。桜小学校は、1879年に開校し、当初は円光院の本堂を仮校舎として使用していました。その後、仙蔵院を増築し、廃寺となった善徳院の材木を使って校舎を完成させ、開校式を行いました。

開校当時、校門を入ると正面にこのオオアカガシがあり、その前には御真影と教育勅語を保管する奉安所が設置されていました。桜小学校の校歌は、同校に通っていた女子児童の作を北原白秋が補作し、草川信が作曲したもので、この木についても歌われています。

その後の変化

1965年頃、当時の教頭と児童たちが落葉の数を数えたところ、50万枚以上になったという記録があります。1972年4月19日には、東京都の天然記念物に指定されました。しかし、昭和末期から平成初期にかけて、大気汚染の影響で一時的に樹勢が衰え、上部が衰弱したり、葉のついていない枝が目立つ状態になりました。その後、樹勢は回復し、再び豊かに葉を茂らせる姿が見られるようになりました。

校舎の増改築によって、オオアカガシの生育場所は校門正面から校庭の一角へと変わりましたが、木は変わらずに保存されています。2009年からの約1年半の改築工事を機に、地域住民がヒノキ材を使ったウッドデッキを木の周囲に設置し、児童たちのために環境整備を行いました。

アクセス

所在地：東京都世田谷区世田谷二丁目4番15号 世田谷区立桜小学校校庭

交通手段:
東急世田谷線上町駅下車
東急バス・小田急バス「桜小学校｣または「上町」下車

参考文献

世田谷区生活文化部文化・交流課 『ふるさと世田谷を語る 世田谷・桜・桜丘・弦巻』 1999年。
東京都教育委員会 『東京都の文化財 3 無形文化財・民俗文化財・名勝・天然記念物』 1992年。
世田谷区教育委員会 『世田谷区寺院台帳』 1984年。
渡辺典博 『続巨樹・巨木 日本全国846本』 山と渓谷社、ヤマケイ情報箱、2005年。ISBN 4-635-06256-2
世田谷区生活環境部みどりの課 『世田谷区名木百選』 1988年。

関連情報

東京都指定文化財一覧
桜小学校のオオアカガシ
名木・古木
* 都道府県、市町村指定の天然記念物のどんぐりの木

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