桜島港

桜島港：活火山と共存する港湾

桜島港は、鹿児島県鹿児島市の桜島と新島に位置する地方港湾です。桜島フェリーが発着するターミナルと、周辺19地区の港湾施設から構成されており、それぞれ鹿児島県と鹿児島市が管理しています。桜島フェリーは国内屈指の輸送実績を誇り、年間約344万人が利用。乗降人員数は国内第3位を記録しています。

火山と共にある港

桜島は日本有数の活火山であり、桜島港は火山災害発生時の避難港としての重要な役割を担っています。1973年に施行された法律に基づき、港湾施設は整備され、火山災害時には住民や観光客が安全に避難できる体制が整えられています。

歴史

袴腰港と桜島フェリーの誕生

1934年、現在の桜島フェリーターミナルの場所に袴腰港が設置されました。1939年には、袴腰港が桜島フェリーの発着所となり、1944年には鹿児島港との間で自動車航送が開始されました。1950年には武港を経由する航路が開設されましたが、1958年に武港が廃止され、袴腰港と鹿児島港を結ぶ航路となりました。1953年には袴腰港が地方港湾に指定され、1969年にはターミナルビルが完成しました。そして、1971年に袴腰港は桜島港へと名称を改めました。

集落を結ぶ船の歴史

1974年まで、桜島の各集落を結ぶ「部落船」が運航されていました。1963年には鹿児島市交通局が運航する黒神航路が開設されましたが、道路の整備によりバスや自家用車の利用が進み、1976年に黒神航路は廃止されました。その後は、新島の通学生のためのスクールボートが運航されています。

避難港としての整備

1972年に桜島で発生した噴火を機に、火山周辺地域における避難施設整備に関する法律が制定され、桜島全域が避難施設緊急整備地域に指定されました。これにより、桜島の各集落には避難港が整備されました。西部では1973年から1979年にかけて8つの避難港と赤水漁港が整備され、東部では1989年までに11の避難港が整備されました。

2000年以降の桜島港

2004年、桜島町が鹿児島市に編入されたことにより、桜島フェリーは鹿児島市船舶局の運営となりました。また、桜島町が管理していた港湾施設も鹿児島市に引き継がれました。2007年には、鹿児島市が管理する桜島の17の港が桜島港に統合されました。2011年に策定された整備計画では、桜島フェリーターミナルの耐震性が課題となり、2018年に建て替え工事が完了し、新しいターミナルが供用開始されました。現在のターミナルは、避難施設としての機能も備えています。

避難港としての役割

桜島は噴火による甚大な被害が想定されるため、早期避難が不可欠です。各集落の避難港からは、フェリーや漁船などの救難船舶で対岸の鹿児島市街へ避難することになります。避難港には一時的な退避舎も設けられており、フェリーターミナルには最大1100人程度の避難が想定されています。観光客も要援護者として、住民と同様に避難する計画となっています。

桜島港の地区一覧

桜島港は、桜島フェリーターミナルの他に19の地区から構成されています。これらの港湾施設は、漁港としての機能に加え、火山災害発生時の避難港としての役割を担っています。

定期旅客航路

就航中の定期航路

桜島フェリー：鹿児島港と桜島フェリーターミナルを結ぶ公営フェリーで、24時間運航しています。年間乗客数は520万人、航送車両数は153万台と、世界屈指の輸送量を誇ります。
行政連絡船「しんじま丸」：浦之前地区と新島を結んでいます。

かつて就航していた定期航路

武 - 袴腰 - 鹿児島：1950年から1958年まで運航。
白浜 - 鹿児島：1950年のみ運航。
白浜 - 武：1950年のみ運航。
黒神 - 鹿児島：1976年まで運航。

桜島港は、活火山という自然の脅威と隣り合わせながら、人々の生活と安全を守る重要な港湾です。

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