梅谷光貞

梅谷光貞の生涯

梅谷光貞（うめたに みつさだ）は、1880年（明治13年）12月2日に兵庫県養父郡畑村（現在の養父市）で生まれました。彼は、日本の内務・警察官僚として、また官選の県知事として、明治から昭和にかけての激動の時代に重要な役割を果たしました。

生い立ちと学歴

梅谷は、梅谷伊平の長男として誕生しました。彼は、第一高等学校を経て、1908年（明治41年）に東京帝国大学法科大学法律学科（独法）を卒業しました。同年11月には、文官高等試験行政科試験に合格し、その才能を早くから示していました。

警察官僚としてのキャリア

1909年（明治42年）1月、梅谷は内務省に入省し、警視庁警部としてキャリアをスタートさせました。1910年（明治43年）11月には警視庁警視に昇進し、その後、岩手県警察部長、栃木県警察部長など、警察畑の要職を歴任しました。1916年（大正5年）6月には台湾総督府に転出し、警視・民政部警察本署保安課長に就任しました。台湾では、警察官及司獄官練習所長事務取扱、台北庁長、総督府事務官、兼参事官、新竹州知事などを務め、その行政手腕を発揮しました。

県知事としての活動

1923年（大正12年）2月、梅谷は山梨県知事として帰国しました。山梨県知事時代には、山岳観光の振興に力を入れました。1920年（大正11年）7月には朝香宮が南アルプス登山を行ったことを契機に、県内で山岳会結成の機運が高まり、1924年（大正13年）6月11日には甲斐山岳会（後の山梨県登山連盟・山梨県山岳連盟）が発足しました。梅谷は同会の総裁となり、会長に若尾金造、副会長に石塚末吉が就任し、富士北麓などの開発や山系の縦走路の改修を進め、観光山梨の基礎を築きました。

1924年（大正13年）6月、梅谷は長野県知事に転任しました。しかし、長野県知事在任中には、川井訓導事件や自らの失政から警廃事件を招き、1926年（大正15年）7月18日には、知事公館に押し寄せた群衆から暴行を受けるという事態に発展しました。同年8月、梅谷は依願免本官となり、官界を退きました。

退官後の活動

退官後、梅谷は海外移民組合連合会専務理事としてブラジル移民事業を指導しました。満州事変後には、陸軍省嘱託として関東軍特務部に勤務し、満州移民計画の立案に携わりました。このように、梅谷は官僚としてのキャリアだけでなく、移民事業や満州問題にも関与し、その活動は多岐にわたりました。

死去

梅谷光貞は、1936年（昭和11年）9月27日に生涯を閉じました。彼の多岐にわたる活動は、日本の近代史において重要な足跡を残しました。

参考文献

歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年。
秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。
『山梨百科事典』増補改訂版、山梨日日新聞社、1989年。
山梨県編『山梨県史 資料編19　近現代6 教育・文化』山梨日日新聞社、2002年。
『財界二千五百人集 満蒙及朝鮮篇』財界二千五百人集編纂部、1934年。
「故梅谷光貞位階追陞ノ件」 アジア歴史資料センター Ref.A11114409600

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