森下岩楠

森下岩楠（もりした いわくす）

森下岩楠は、1852年2月19日（嘉永5年1月30日）に紀州藩士の次男として生まれ、後に同藩士の養子となりました。1917年（大正6年）3月28日に生涯を終えるまで、明治期の日本において、官僚、教育者、実業家、ジャーナリストとして多岐にわたる分野で活躍しました。

教育者としての活動

1869年に和歌山から上京した森下岩楠は、翌1870年に慶應義塾に入塾しました。1873年頃には教員として教壇に立ったようですが、当時の慶應義塾は学生同士が教え合う形式が取られていたため、現代の教員とは異なる形態であったと考えられています。同時期には、『初学人身窮理』という書籍の翻訳にも携わっています。また、初期の三田演説会にも関わり、1874年には書記を務めました。その後、1876年には慶應義塾の塾長に就任しましたが、約1年後の1877年に辞任しました。

実業家としての活動

1878年には、岩崎弥太郎と共に三菱商業学校の創設に関与し、初代校長に就任しました。その後、大蔵省の書記官となりますが、明治十四年の政変で辞職。その後は、ジャーナリストとして時事新報に入社しました。北海道庁の支援を受けた事業や、中村道太が経営するアメリカの会社、帝国生命保険など、多くの企業で要職を歴任しました。1896年には、渋沢栄一が設立した東京興信所の所長に就任しました。

その他の活動

森下岩楠は、教育者、実業家としての活動の傍ら、ジャーナリストとしても活躍しました。時事新報に入社した経験を持ち、社会の動向や経済情勢に対する深い知識と見識を持っていたと考えられます。彼の多岐にわたる活動は、明治期の社会に大きな影響を与えました。

晩年

森下岩楠は、1917年（大正6年）に65歳で亡くなり、青山霊園に埋葬されました。彼の生涯は、激動の明治時代を象徴するものであり、その多才な活動は後世に語り継がれています。

参考文献

* 三田商業研究会 編『[慶應義塾]]出身名流列伝』実業之世界社、1909年（明治42年）6月、909-910頁。[https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/777715。 （近代デジタルライブラリー）

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