森芳雪

森芳雪（もり よしゆき）は、天保6年（1835年）に生まれ、明治12年（1879年）に没した、江戸時代末期から明治時代にかけての大坂で活躍した浮世絵師です。

来歴

歌川芳梅（うたがわ よしうめ）の門人であり、大坂出身。姓は森、名は米次郎（よねじろう）。南粋（なんすい）、南酔亭（なんすいてい）、六花園（りっかえん）、六花軒（りっかけん）などの号を用いていました。蕙雪（よしゆき）と名乗ることもありました。

作画期は文久年間から明治8年（1875年）頃までで、明治5年（1872年）頃には一時的に東京に出て、蒸気車や銀座煉瓦石造街の風景といった開化絵を描いています。中判の役者絵の他に、歌川国員（うたがわ くにかず）、中井芳滝（なかい よしたき）との合作による「浪花百景」が知られています。

なお、江戸にも同名の歌川芳雪がいますが、別人です。

作品

森芳雪の作品には、以下のようなものがあります。

『見聞奇談』：北遊山人（ほくゆうさんじん）が文を撰し、慶応4年（1868年）に刊行された書籍
「故片岡我童追善口上」：文久3年（1863年）2月に描かれた横大判錦絵。池田文庫に所蔵されています。
「本朝廿四孝　敵討巌流嶋」：明治7年春頃に描かれた大判錦絵3枚続。池田文庫に所蔵されています。
「浪花百景」：嘉永の頃に制作された中判錦絵の揃物。歌川国員、中井芳滝との合作です。
「天皇諸所巡見図」：明治6年に描かれた大判錦絵3枚続。

森芳雪の作品の特徴

森芳雪の作品は、役者絵や開化絵、風景画など多岐にわたります。役者絵では、役者の個性を捉えた力強い描写が特徴です。開化絵では、文明開化の様子を鮮やかに描き出しています。風景画では、大坂の風景を情緒豊かに表現しています。

合作である「浪花百景」は、大坂の名所や風物を描いた作品で、森芳雪の代表作として知られています。他の浮世絵師との共同制作によって、多様な視点から大坂の魅力が表現されています。

参考文献

森芳雪についてより詳しく知りたい場合は、以下の文献を参照してください。

日本浮世絵協会編『原色浮世絵大百科事典』（第2巻）大修館書店、1982年
吉田漱『浮世絵の基礎知識』大修館書店、1987年
吉田漱『浮世絵の見方事典』北辰堂、1987年

これらの文献には、森芳雪の生涯や作品に関する詳細な情報が掲載されています。

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