植原悦二郎

植原 悦二郎（うえはら えつじろう）

植原悦二郎は、1877年5月15日に長野県南安曇郡明盛村（現・安曇野市）で生まれました。彼の人生は、幼少期に生家が没落したことから始まります。豊科高等小学校を卒業後、一時的に製糸工場で女工の検番や横浜税関での勤務を経て、1899年に渡米しました。アメリカに渡った彼は、学校での給仕をしながら学業を続け、ハイスクールを卒業します。その後、1907年にワシントン州立大学を卒業し、ジョン・アレン・スミスの政治経済学やウイリアム・セーボリーの哲学を学びました。

さらに彼は、同年ロンドン大学大学院に進学し、1910年に政治経済学の博士号を取得します。帰国後は明治大学や立教大学、東京高等工業学校で教授として教鞭を取りました。彼は、政治学や比較憲法論、社会学など多岐にわたる分野を講義しました。

悦二郎は、吉野作造が提唱した民本主義に対抗し、天皇には統治権があるとしつつも主権は国民にあるという観点から国民主権論を大胆に提唱しました。彼は急進的な大正デモクラットとして言論活動を展開し、1917年の総選挙では立憲国民党から立候補し当選を果たしました。その後、彼は総選挙において13回当選を重ね、普選の実現や政党政治の発展に寄与しました。

彼は急進的な立場を取り、犬養毅のもとで革新倶楽部から立憲政友会へと移籍し、1924年の加藤高明内閣では逓信参与官、1926年には田中義一内閣で外務参与官に就任しました。1932年から1936年にかけては衆[[議院]]副議長を務め、1939年の政友会分裂では正統派に属しました。

戦時中、彼は大政翼賛会に対して批判的な立場を維持し、1941年には鳩山一郎や尾崎行雄らと共に反翼賛会の「同交会」を創設します。しかし、1942年の翼賛選挙では落選しました。1943年の東京都会議員選挙にも立候補しましたが、再度落選します。戦後は、鳩山らと共に日本自由党の結成に関与し、1946年に政界に復帰しました。

1946年の第22回総選挙では当選し、以後第1次吉田内閣の国務大臣として入閣します。改造後は内務大臣を務め、炭鉱国管疑獄では衆[[議院]]不当財産取引調査委員会に証人喚問されました。彼は強いリベラリストとして知られ、戦時中の予算委員会では戦争目的に基づく強硬な発言をする一方、新憲法第9条にも疑問を投げかけました。

1955年にはアジア・アフリカ会議に日本代表団の一員として参加し、1961年に沖縄と台湾を訪問し、蔣介石総統と会見しました。1962年12月2日、高血圧性動脈硬化症により亡くなりました。葬儀は自由民主党葬として行われ、彼の墓所は青山霊園にあります。彼は勲二等瑞宝章や正三位勲一等旭日大綬章など、複数の栄典を受けており、その業績は現在でも評価されています。

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