植垣康博

植垣康博は、1949年1月2日に静岡県で生まれ、2025年1月23日に76歳で亡くなった、連合赤軍の元活動家です。彼は、静岡大学教育学部附属島田中学校から静岡県立藤枝東高等学校に進学し、地質学に興味を持ちました。1968年4月には弘前大学理学部物理学科に入学。大学入学後、民青に加盟しましたが、学内活動ではクラス代表としての立場を重視し、民青の方針に必ずしも従いませんでした。民青の反代々木派学生に対する暴力的な排除に嫌気がさし、1969年4月に脱退、その後反代々木派に転じました。

1969年夏、弘前大全共闘を結成し、バリケード封鎖を行った際、共産主義者同盟赤軍派に誘われ参加。10.21国際反戦デー闘争で逮捕され、1970年12月中旬まで獄中生活を送りました。出所後、赤軍派の活動に復帰し、横浜・寿町で活動。早大生の山崎順を獲得しました。1971年には赤軍派として金融機関強盗「M作戦」に関与。連合赤軍結成後は、兵士のリーダーとして山岳ベース事件にも加担しました。

榛名ベースでの会議中には恋人の死に直面し、自身も総括を要求されましたが、殴打や緊縛を免れました。1972年2月、妙義ベースが警察の捜査を受けた際、植垣は連合赤軍の残存メンバーを率いて雪山を越え長野県へ脱出しましたが、軽井沢で警察に逮捕されました。逮捕時、所持していた爆弾や武器が見つかったためです。あさま山荘事件はこの逮捕劇の後に発生しています。

1977年、日本赤軍によるダッカ事件で釈放要求メンバーに指名されましたが、連合赤軍問題を考えるため日本に残ることを選択しました。裁判では懲役20年の判決を受け、1993年に刑が確定、1998年に出所しました。服役中には、ミンクのコートを手掛けていたとされています。2005年には、自身が経営するスナック「バロン」のアルバイト従業員であった33歳年下の中国人留学生と結婚し、一児をもうけました。

晩年の2021年に脳出血で視力が低下し、2025年1月に誤嚥性肺炎で亡くなりました。植垣は、山岳ベース事件を「集団狂気ではなく、強固な論理構造があった」と振り返り、自身が生還できたのは「運が良かったが、大工仕事ができたからかもしれない」と語っています。

軽井沢駅での逮捕は、彼の体臭と、職務質問時の不自然な発言が原因でした。山岳ベースでの逃亡生活で風呂に入っていなかったため、悪臭を放っており、キヨスクの店員が不審に思い警察に通報。さらに、職務質問の際に「長野市内幸町」という存在しない地名を口にしたため、警察官に追及され、逮捕されました。

植垣は、著書『兵士たちの連合赤軍』、『連合赤軍27年目の証言』で自身の経験を語っています。また、テレビ番組や映画にも出演・登場しています。連合赤軍事件に関する重要な証言者であり、その人生は多くの議論を呼んでいます。

植垣康博は、その複雑な人生を通して、日本の社会運動史における重要な人物の一人です。彼の経験は、当時の社会情勢やイデオロギーが、個人の人生にどのように影響を与えうるのかを考える上で、貴重な教訓となっています。

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