楊文徳

楊文徳（よう ぶんとく）

楊文徳（生年不詳 - 454年）は、中国南北朝時代の仇池氐の首長であり、武都王として知られています。

生涯

楊文徳は、楊玄の末子として生まれ、楊保宗の弟にあたります。

443年3月、文徳は自ら使持節・都督秦河涼三州諸軍事・征西大将軍・秦河涼三州牧・平羌校尉・仇池公を号しました。同年4月には、北魏の仇池を包囲し、南朝宋に救援を求めました。しかし、古弼に敗れて仇池の包囲を解き、漢川に撤退しました。

同年7月、文徳は南朝宋の文帝により、持節・散騎常侍・都督北秦雍二州諸軍事・征西大将軍・平羌校尉・北秦州刺史に任じられ、武都王に封じられました。

11月には、南朝宋の将軍である姜道盛とともに2万人の兵を率いて北魏の濁水に進攻しました。また、別の南朝宋の将軍である青陽顕伯が派遣されて斧山を守り、北魏の仇池鎮将である皮豹子をはばみました。しかし、姜道盛は濁水の城兵に射殺され、皮豹子に斧山を攻撃されて青陽顕伯は斬られ、その部下は捕らえられました。皮豹子がさらに河間公拓跋斉と濁水で合流すると、宋軍は北魏軍の強盛を恐れて夜間に逃走し、文徳は漢中に逃亡しました。

文徳は葭蘆城を守り、武都郡や陰平郡の5部の氐民を招き誘いました。448年、皮豹子が葭蘆城を攻撃すると、文徳は城を棄てて南に逃れ、かれの妻子や仲間たちは捕らえられました。南朝宋の白水郡太守である郎啓玄が兵を率いて文徳を救援しようとしましたが、皮豹子の逆撃を受けて敗れました。郎啓玄と文徳は漢中に逃げ帰りました。

当時、南朝宋の武陵王劉駿が雍州刺史として襄陽に駐屯していましたが、文徳を捕らえて建康に連行しました。文徳は葭蘆城失陥の責任を問われて免官され、爵位と封土を削られました。

450年、宋軍が北伐すると、文徳は輔国将軍とされ、軍を率いて漢中から西に入り、汧・隴の地を揺さぶりました。文徳の同族である楊高が陰平や平武の氐族たちを率いて唐魯橋に拠り、文徳を阻みました。文徳は水陸からこれを攻めて、楊高を撃破しました。楊高が羌のもとに逃走したので、文徳はこれを追って黎仰嶺に達しました。楊高は単身で羌の仇阿弱の家に逃げ込みましたが、追いつかれて斬られました。文徳は陰平・平武を平定しました。さらに文徳は啖提氐を攻撃しましたが、勝利できませんでした。南朝宋の梁州刺史である劉秀之が文徳を捕らえて荊州に送り、文徳の従祖兄である楊頭を葭蘆城に駐屯させました。

453年1月、南朝宋の将軍である蕭道成・王虬・馬光らが漢中に入ると、別に文徳や楊頭らが氐族や羌族を率いて武都を包囲しました。北魏の皮豹子は武都を救援しようと、兵を分けて女磊にいたりましたが、宋軍が進軍を停めたと聞いて、祁山に人を派遣して馬を確保してから救援に赴くこととしました。文徳は皮豹子が宋軍の補給線を断とうとしていると見て、軍を返して覆津に入りました。

454年、南朝宋の荊州刺史である南郡王劉義宣が反乱を起こすと、文徳は同調しなかったため殺されました。孝武帝により征虜将軍・秦州刺史の位を追贈されました。

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