楊森 (四川)

楊森（よう しん）

楊森は、中華民国の著名な軍人であり、特に四川軍の指揮官として知られています。彼の生涯は、軍事活動と政治が交錯する複雑な背景を持ち、北京政府や国民政府といった政権にも深く関与していました。彼の旧名は淑沢、伯堅で、字は子恵でした。

初期の経歴

楊森は学問を志し、順慶府聯合中学堂で学ぶも、やがて軍人の道を選びました。1904年に四川陸軍速成学堂に入学し、1906年には中国同盟会に加入します。1908年に速成学堂を卒業後、四川の新軍である第17鎮に配属され、軍人としてのキャリアをスタートしました。

民国成立後の活動

中華民国が成立した後、楊森は四川軍に在籍。しかし、二次革命（第二革命）では、彼は当初革命派に身を投じたため、滇軍（雲南軍）に捕えられ、後にそのまま滇軍に参加します。1915年に護国戦争（第三革命）が勃発すると、蔡鍔の指揮官である趙又新に従い、四川に戻ります。そこで彼は滇軍に属し続けましたが、1920年には「川人治川」のスローガンに共鳴し、滇軍から離脱し川軍に復帰します。

その後、楊森は滇軍掃討作戦で顕著な活躍を見せ、1921年には川軍第2軍軍長に昇進、重慶に駐屯することになります。彼は川軍の劉湘と共に南方政府派の熊克武を撃破し、その功績により、1923年には中央陸軍第16師師長に任命され、9月には陸軍中将に昇進しました。1924年には陸軍上将へと昇進し、四川督理に任命されるなど、軍内での地位を確立していきます。

辛酸と再起

しかし、彼の急成長は他の川軍指揮官たちからの反感を買うことになるのです。1925年に呉佩孚の支援を受けて四川統一のための戦いを開始しましたが、劉湘や他の指揮官たちとの対立から惨敗を喫し、四川を追われることとなります。しかし、再び四川に舞い戻り、袁を追放することで彼の地位を回復します。1926年、呉から四川省長に任命され、9月には万県事件においてイギリス軍と交戦するという経験もしました。

国民政府での活躍

1926年10月、国民党の力が強まる中、楊森は国民革命軍に参加することを決意し、第20軍軍長に任命されます。しかし、1928年には呉佩孚を庇護した罪で免職となり、彼の経歴は波乱に満ちていました。それでも、楊森は陸軍中将に昇進し、日中戦争が勃発すると上海地区で軍事活動を展開し、1938年には第27集団軍総司令を任され、さらには第9戦区副司令長官も兼任することになります。

戦争終結直前の1945年1月、貴州省の政府主席に就任し、その後重慶市長に転任。1949年には西南軍政長官公署副長官も兼任し、同年末には国民党軍が西南部で壊滅したため台湾へ逃亡します。戦後は国策顧問やオリンピック委員会の主席などを歴任し、その後も多方面で影響力を持ち続けました。1977年5月15日、86歳で台北でその生涯を閉じました。

楊森の人生は、軍人としての活動と政権との関わりが非常に複雑であり、多くの歴史的事件と共に彼の名は記憶されています。

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