楊秉

楊秉の生涯と業績

楊 秉（よう へい、92年 - 165年）は、後漢時代に活躍した学者、官僚、政治家であり、字は叔節です。彼の本貫は弘農郡華陰県にあります。楊秉は、楊震の三男としてこの世に生まれ、若い頃から父の学問を受け継ぎました。特に『京氏易』を学び、幅広い知識を身につけました。彼は隠居した後、学問を教授しつつ、後の人生において多くの政治的な役割を果たしました。

四十を超えてから、彼は司空の職に就くように召命され、侍御史としても任命されました。その後、豫州、荊州、徐州、兗州の刺史を歴任し、任城国には相として赴任しました。楊秉は俸禄以外の金銭を受け取らないことで清廉さを示し、その名声を高めました。彼は桓帝の即位時に宮中に召し出され、『尚書』の講義を行いました。その後、太中大夫や左中郎将、さらには侍中や尚書の地位に昇進しました。

桓帝がある日、個人的に河南尹の梁胤の府に出向いた際、大風によって一時的に昼間が暗くなるという異常現象が起こりました。これに対し、楊秉は上疏を提出して桓帝に注意を促しましたが、残念ながら彼の忠告は無視されてしまいました。体調を崩した楊秉は、その後引退を望み、右扶風として出向しました。しかし、太尉の黄瓊が彼の才能を惜しみ、外任にすべきではないと上書したため、楊秉は光禄大夫に任じられることになりました。

159年、梁冀が死去した後、楊秉は太僕に任じられ、後には太常の職に転じました。しかし、160年に白馬県令の李雲が桓帝に対する弁護を行った際、彼を助けたことが原因で免官となり、郷里に帰ることになりました。その後、洛陽に再び召還され河南尹に就任しますが、彼は中常侍の単超の弟、単匡の不正に関わる問題で責任を問われ、再び免官されて労役に服しました。後に赦免されることとなりました。

泰山太守である皇甫規らが楊秉の忠誠を訴え、彼の任用を求めますが、楊秉は病を理由に再任を拒み続けました。桓帝が再度の召し出しを行いましたが、楊秉は洛陽に赴き、太常として就任します。162年には劉矩に代わって太尉となり、宦官が多く地方官として不正を働く状況を改善するため、桓帝に改革を求めました。楊秉の取り組みにより、多くの不正が摘発され、数十人が処罰されました。

164年、桓帝が南巡する際には、楊秉がその侍従として仕えました。南陽太守の張彪との旧交を知ると、直ちに不正を訴える文書を提出し、さらには桓帝に直接上疏して忠告しました。さらに、165年には中常侍の侯覧の弟である侯参の不正を弾劾し、侯参が自殺に至った事件を引き起こします。楊秉はさらに侯覧と具瑗も糾弾し、桓帝に受け入れられ、侯覧は罷免となり具瑗はその封国を削られました。

楊秉は生涯を通じて飲酒をせず、早くに妻を失った後は再婚もしませんでした。彼は「我に三不惑あり。酒・色・財なり」と述べ、清廉な生き方を貫いた結果、165年5月、74歳でこの世を去りました。子としては楊賜が名を残しています。彼の生涯は、後漢時代における清廉な官僚の模範として記憶されています。

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