楊輔清

楊輔清（よう ほせい、Yáng Fǔqīng）は、19世紀中頃に中国で起こった太平天国の指導者の一人です。彼は、太平天国の初期からの重要人物である東王、楊秀清の弟として知られています。生年については詳しい記録が残っていませんが、1874年に処刑されたことがわかっています。

広西省潯州府桂平県の出身である楊輔清は、太平天国が蜂起した金田蜂起の際に、兄とともに初期の段階から運動に参加しました。その功績により、彼は国宗の位を授けられました。太平天国が天京（現在の南京）を首都としていた時代に、内部抗争である天京事変が発生しましたが、この時、楊輔清は天京にいなかったため、難を逃れることができました。この事件は、太平天国に大きな影響を与え、後に内部分裂を招く要因となりました。

1858年、楊輔清は軍事的な才能を発揮し、江西省の景徳鎮を攻略しました。その後、清朝軍に降伏していた将軍、韋俊を破り、池州を奪回しました。これらの功績により、彼は輔王に封じられました。1860年には、第二次江南大営攻略に参加し、安徽省の寧国を占領、さらに江蘇省の宜興を占領し、ここに輔王府を置きました。彼は、太平天国の軍事的な拡大に大きく貢献しました。

しかし、太平天国の勢力は次第に衰退し、1864年には首都の天京が陥落しました。この時、楊輔清は湖州の守備についていましたが、天京陥落後、上海へと逃れました。その後も、彼はマカオや中国各地を転々とし、再起の機会をうかがっていました。しかし、彼の再起の試みは成功せず、1874年に福建省で、かつて太平天国に属していたが、後に清朝に降伏していた将軍、馬融和によって発見されました。この情報を受けた閩浙総督の李鶴年は、直ちに楊輔清を捕らえ、晋江県で捕縛、福州で処刑しました。これにより、彼の波乱に満ちた生涯は幕を閉じました。

楊輔清の死後、いくつかの伝説が生まれました。一説には、彼は上海からアメリカのサンフランシスコに逃れ、そこで三合会を創設したと言われています。また、別の説では、1884年に閩浙総督の何璟によって捕らえられ殺害されたとも伝えられています。これらの説は、彼の生涯が様々な解釈を生み出していることを示しています。

楊輔清は、太平天国の興亡を象徴する人物の一人であり、その軍事的な才能と波乱の生涯は、歴史の中で語り継がれています。彼の足跡は、太平天国の歴史を深く理解する上で重要な鍵となります。

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