楠町 (神戸市)

神戸市中央区楠町：歴史と文化が織りなす街並み

神戸市中央区楠町は、大倉山と呼ばれる地域に位置し、1丁目から8丁目までを擁する、住居表示実施地域です。兵庫区との境に近く、国道428号線を西の境界線として、山手幹線の南北に広がるエリアです。郵便番号は650-0017です。

楠町の成り立ちと地理

楠町は、かつて坂本村と荒田村、そして安養寺山（現在の大倉山）の一部を統合して明治28年（1895年）に誕生しました。大倉山は楠町7丁目に含まれます。

地理的には、北から中山手通・下山手通、東から北長狭通・橘通・多聞通、南から兵庫区西上橘通・荒田町、そして西から兵庫区下祇園町・馬場町と隣接しています。

町内には、神戸大学医学部附属病院、神戸大学楠キャンパス、神戸市立湊翔楠中学校といった教育機関に加え、神戸文化ホール、神戸市立中央体育館、神戸市立中央図書館、大倉山公園といった文化・スポーツ施設が集積しています。これらの施設の存在が、楠町を教育・文化の中心地として特徴づけています。また、神戸駅・大倉山都市景観形成地域の大倉山ゾーンにも含まれており、都市景観の形成にも貢献しています。

歴史と文化

町名の由来は、楠木正成公にちなみます。湊川神社（楠町の南に隣接）の祭神である楠木正成公ゆかりの地であり、かつて楠木正成公の菩提寺と伝えられる広厳寺（俗に楠寺と呼ばれていた）が存在したという説もあります。

明治5年（1872年）には坂本村に湊川神社が創建され、その歴史は楠町の形成に深く関わっています。明治時代から昭和にかけて、神戸市の行政区域変更や、学校・公共施設の移転、道路拡張などが町の変遷に影響を与えました。例えば、神戸市立図書館は、大正10年（1921年）に新築移転しています。また、市電の開通や廃止なども、楠町の交通事情や発展に大きな変化をもたらしました。

地価と人口

2014年1月1日時点の公示地価によると、楠町1-10-10地点の住宅地の地価は、1㎡あたり23万9000円と、高い地価を示しています。これは、良好な住環境と充実した都市インフラが評価されているためと考えられます。

人口は、時代とともに変遷しています。平成17年（2005年）の国勢調査によると、世帯数1,493世帯、人口2,696人でした。しかし、昭和35年（1960年）には人口6,882人と、現在よりもはるかに多くの人が居住していました。これは、都市部への人口集中や、近年の高齢化、核家族化などの社会構造の変化を反映していると言えるでしょう。

まとめ

楠町は、歴史と文化、そして教育・文化施設が調和した、魅力的な地域です。高い地価と充実した環境は、多くの人々にとって住みやすい場所であることを示しています。今後も、地域住民の生活の質を高め、神戸市における重要な地域として発展していくことが期待されます。

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