極楽寺 (西条市)

石鎚山信仰の根本道場：極楽寺

極楽寺は、愛媛県西条市大保木に位置する石鎚山真言宗の総本山です。九品山を山号とし、阿弥陀三尊と石鎚蔵王大権現を本尊としています。約1300年前から石鎚山信仰の根本道場として、山岳宗教の一大修験道場として知られています。

歴史

寺伝によれば、680年頃に役行者が龍王山に籠り、不動ヶ滝で修行を行ったことが始まりとされています。役行者は阿弥陀三尊と3体の石鎚権現を本尊とする天河寺を開基し、平安時代から室町時代にかけて隆盛を極めました。

しかし、室町時代末期の戦火で天河寺は焼失。当時の住職であった行善大徳は、弟子である宥法師に天河寺の法灯を継ぐ地を探させ、自らは遷化しました。宥法師は龍王山を望む現在の地に堂宇を建立し、極楽寺と名付けて法灯を守り抜きました。

その後、天河寺の焼け跡から本尊であった3体の石鎚蔵王権現の中尊「金剛蔵王権現」が発見され、蔵王殿の本尊として祀られるようになりました。極楽寺となってからも2度の火災に見舞われましたが、権現像は守り抜かれ、現在も石鎚金剛蔵王権現の御前で朝夕に護摩焚きが行われています。2014年には失われていた両脇尊である「龍王吼蔵王権現」と「無畏宝吼蔵王権現」が新調され、3体が揃いました。

明治時代の神仏分離令によって石鎚権現を奉斎していた前神寺と横峯寺が廃寺となった際も、極楽寺は廃寺を免れ、石鎚信仰が続いてきました。

伽藍

極楽寺の境内は、本坊エリアと別院エリアに分かれています。

本坊エリア

山門
本堂（本坊）: 秘仏の阿弥陀三尊を本尊とする。新四国曼荼羅霊場の本尊でもある。
六角地蔵堂
八大龍王社: 石鎚山総鎮守
光明真言義民堂
鐘楼堂
庫裡客殿

別院エリア

中門
蔵王殿: 三体の石鎚蔵王権現を本尊とする。中尊は護摩焚きの際にのみ公開される。右脇陣には米持権現と福禄寿、左脇陣には不動明王が祀られている。
大師堂: 秘鍵大師像
金剛閣: 寺務所、宿坊
聖天堂: 歓喜天
浄心堂・清龍堂: 加行道場
三帰庵: 茶室、写経室
滝行場: 不動ケ滝
法起坊堂: 石鎚山法起坊大天狗を祀る。

主な行事

2月3日（節分）: 紫灯大護摩と火渡り
5月3日（春山大祭）: 紫灯大護摩と火渡り
8月12日: お盆万灯供養会
8月最終日曜日: 龍王山入峰修行
12月冬至の夜: 加茂川での水行

札所

新四国曼荼羅霊場 第32番
四国三十六不動尊霊場 第23番

奥の院：天河寺跡

かつて役行者によって開かれた天河寺は、瓶ケ森の山頂に祀られた石土蔵王権現の別当寺として栄えました。しかし、1350年の兵火によって焼失し、再建されることはありませんでした。

周辺情報

東宮神社: 伊邪那美命を祀る神社
* 旧大保木小学校: 廃校となった小学校。校庭にはソメイヨシノの老木が残る。

極楽寺は、石鎚山の豊かな自然に囲まれた、歴史と信仰の息づく場所です。ぜひ一度訪れて、その神聖な雰囲気を体験してみてください。

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