楽山大仏

楽山大仏の概要

楽山大仏（らくざんだいぶつ）は、中国の四川省楽山市に位置する、弥勒菩薩を模して彫刻された壮大な磨崖仏です。この巨大な石像は、石窟寺院の一形態として建造され、1996年には近隣の峨眉山とともに「峨眉山と楽山大仏」としてユネスコの世界遺産に登録されました。また、1982年には国家級風景名勝区に認定され、2011年には中国の5A級観光地に選ばれています。

位置と特徴

楽山大仏の位置は、峨眉山地域内の岷江、大渡河、青衣江が合流する地点であります。この寺院は、磨崖仏としては世界最大かつ最長のもので、石で作られた大仏は高さ約71メートルに達し、顔の大きさは約100畳分に相当します。製作には90年の歳月がかかり、その広大さは東大寺の大仏と比較すると、その約5倍となります。特に注目すべき点は、この大仏が国家の力によってではなく、地元の住民の手で築かれたということです。

建設の背景

楽山大仏の建設は、713年に始まりました。塩の生産が盛んな地域であったため、海通という僧は、地元の人々の寄付を受けて、岷江の水害を抑えるためにこの大仏を造ることを決意しました。743年、海通は大仏が完成する前に亡くなりますが、その後、韋皌という政治家が工事を引き継ぎ、803年に遂に完成するに至りました。完成時には、大仏は木造の覆屋に包まれ、その法衣には金箔、胴には朱色が施されていました。また、排水システムや雨水を逃がす溝も造られ、当時の技術が結集されていました。しかし、明代末期に建物が焼失し、大仏も風雨にさらされてその美しさを失っていきました。

修復作業

楽山大仏の修復作業は1962年に始まりました。その際には、経典を収納するために明代に開けられたと思われる穴が発見されるなど、多くの興味深い発見がされました。近年、酸性雨による影響で染みが見られるとの指摘もなされています。

世界遺産としての登録

楽山大仏はその顕著な文化的価値から、1996年に世界遺産に登録されました。特に、峨眉山とともに文化的な景観として高く評価されており、多くの観光客が訪れる場所となっています。

近年の出来事

2018年には大仏の胴体の修復工事が行われ、翌年3月に完成しました。この修復後、顔の部分の写真が加工されてインターネットに転載されたことで、批判的な意見が広まりました。また、2020年には長雨による河川の増水で、大仏の足元まで水が達するという事態も発生しました。

施設の詳細情報

楽山大仏の全高は約71メートル、像本体の高さは約59.98メートルであり、近代以前に造られた石像としては最大のものとなります。現在では、バーミヤンの大仏が破壊されたことにより、この大仏は独立した存在となっています。

アクセス

楽山大仏を訪れるには、路線バスの「大佛寺」バス停で下車し、徒歩3分の距離です。この便利なアクセスにより、多くの観光客が訪れることができます。位置情報は、北緯29度32分50秒、東経103度46分09秒となっています。

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