榊原政房

榊原政房は、寛永年間から江戸時代前期にかけて活躍した大名であり、播磨姫路藩の第2代藩主として知られています。榊原家4代当主として、その短い生涯の中で藩政に尽力しました。

寛永19年（1642年）に、初代藩主・榊原忠次の子として誕生しました。母は寺沢広高の娘です。承応2年（1653年）には従五位下・刑部大輔に任官し、元服後は順調に昇進を重ねます。寛文5年（1665年）5月11日、父・忠次の死去に伴い、23歳で家督を相続し、姫路藩主となりました。

榊原家の家督相続には、複雑な事情がありました。父・忠次は、叔父にあたる康勝の死によって榊原家を相続しましたが、実は康勝には庶子の勝政が存在していました。そのため、本来であれば勝政が家督を継ぐ立場にありましたが、様々な経緯を経て政房が藩主となったのです。

勝政から榊原家当主の座を失わせた形になった政房は、この件に関して深く心を痛めていたと伝えられています。義父である岡山藩主・池田光政らと奔走し、勝政の子である勝直、政喬の兄弟を旗本に取り立てることに成功しました。この分家成立は、後に榊原家の血筋を保つ上で重要な役割を果たすことになります。

寛文5年（1665年）には従四位下・式部大輔に昇進しましたが、その2年後の寛文7年（1667年）に27歳の若さで死去しました。跡を継いだのは、嫡男の熊之助（後の榊原政倫）でした。政倫はまだ幼かったため、藩政は家臣たちによって支えられました。

政房の正室は、池田光政の娘である富幾です。また、池尻共孝の娘も継室として迎えました。子供は長男の政倫と、長女の松姫がいます。松姫は蜂須賀綱通の正室、のちに松平義行の継室となりました。

榊原政房は、若くして藩主となり、短い生涯の中で藩政の安定と榊原家の存続に尽力しました。特に、分家を立てることで藩主の血筋を後世に残した功績は大きく、評価されています。

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