榎町 (新宿区)

榎町（えのきちょう）について

東京都新宿区の北東部に位置する榎町は、新宿区の中でも独特な雰囲気を持つエリアです。この町は「丁目」の設定がない単独の町名であり、住居表示も未実施となっています。牛込地域に属し、山吹町、天神町、東榎町、矢来町、南榎町、弁天町、早稲田町、早稲田鶴巻町と隣接しています。

地理と景観

町域内を南北に縦断する外苑東通りは、交通の要所となっています。住宅地の中に、由緒ある済松寺や大日本印刷榎町工場といった施設が点在しており、歴史的な寺院と現代的な企業が共存する風景が見られます。済松寺は、三代将軍徳川家光が祖心尼のために建立した由緒ある寺院として知られています。

歴史

榎町の名前の由来は、かつてこの地にあった巨大な榎の木であると伝えられています。具体的な位置は不明ですが、その根本には人が一人入れるほどの空洞があったと言われています。江戸時代の貞享年間には、「馬ぐそ仙人」と呼ばれる人物がこの空洞に住んでおり、馬や牛の糞を集めて生活していたという伝説が残っています。彼は大人とは話さなかったものの、子供たちには歌を書いた紙片を渡すなど、特異な人物であったようです。

現在の榎町

2023年1月1日現在、榎町の世帯数は494世帯、人口は678人です。この数字は、新宿区内でも比較的落ち着いた生活環境を物語っています。また、2021年の経済センサス調査によると、事業所数は73、従業員数は2,537人となっており、地域経済も一定の活力を保っています。

教育

学区については、全域が新宿区立早稲田小学校と新宿区立牛込第二中学校の学区となっています。

主な施設

町内には、東京都立新宿山吹高等学校の一部、大日本印刷榎町工場、済松寺などがあります。また、郵便局（牛込郵便局）も地域住民にとって重要な施設となっています。


榎町は、古くからの歴史と現代的な要素が混ざり合う、魅力的な町です。歴史的な寺院や伝説、そして地域経済を支える企業が、この町の個性を形作っています。

参考文献

高橋庄助 著『新宿区史跡散歩 (東京史跡ガイド4)』学生社、1992年

関連情報

新宿区
* 済松寺

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