榜眼

榜眼（ぼうがん、ぼうげん、満洲語：ᡩᠠᡥᠠᠯᡳᠰᠣᠨᠵᠣᠰᡳ、dahali sonjosi）は、中国の科挙制度において、最終試験である殿試で第2位の成績を収めて進士となった者を指す名称です。科挙は、古代中国において官僚を登用するための試験制度であり、その中でも殿試は皇帝が直接行う最も重要な試験でした。この試験での成績によって、合格者の順位が決まり、その順位に応じて官位が与えられました。

榜眼は、首席で合格した状元、第3位で合格した探花と並び、「三鼎甲」または「三魁」と称されます。これらの上位3名は、科挙合格者の中でも特に優れた者として、社会的に高い評価を受けていました。榜眼は、状元に次ぐ優秀な人材として、重要な役職に就くことが期待されていました。

興味深いことに、当初は首席合格者を状元、次席と三席の合格者を「状元の両眼のごとく左右に分立する」という意味で、両方とも榜眼と呼んでいました。しかし、北宋時代末期に至り、次席の合格者のみを榜眼と呼ぶようになり、三席の合格者は探花と呼ばれるようになりました。この変化は、科挙制度の細分化と、より厳密な序列を求める動きを反映しています。

榜眼という名称は、状元や探花と同様に、正式な名称ではありませんでした。あくまで慣習的に用いられていた名称であり、科挙合格者名を正式に発表する立て札（金傍）には、「一甲第二名」と記載されていました。このことは、榜眼という名称が、科挙合格者の間で広く共有されていたものの、制度的な位置づけとしては、あくまで通称であったことを示しています。

榜眼は、科挙という厳しい競争を勝ち抜いたエリートであり、その後のキャリアにおいて、重要な役割を果たすことが期待されていました。彼らの多くは、中央政府や地方の要職に就き、中国社会の発展に貢献しました。科挙制度は、中国社会において、身分や家柄に関わらず、能力のある者が官僚として活躍できる機会を提供した重要な制度であり、榜眼はその制度が生み出した、最も傑出した人材の一人と言えるでしょう。

関連用語として、科挙、状元、探花などがあります。また、中国を舞台にした小説「彩雲国物語」にも、科挙に関する記述が見られます。

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