槍昔

槍昔（やりむかし）の概要

槍昔（やりむかし）は、北海道根室市に位置する町名で、郵便番号は086-0071です。2014年12月31日の住民基本台帳によれば、ここには56人の住民が暮らしています。また、面積は約26.86平方キロメートルと広大で、風蓮湖の岸に突き出た半島状の地形を有しています。この地域は、湖岸に位置する漁業地域と内陸の酪農地域から構成されており、豊かな自然環境が魅力です。

地理的特性

槍昔は根室市の西部にあり、北から東にかけて風蓮湖に面しています。この地域は大部分が未開発の森林地帯であり、半島の状況を活かした漁業集落や内陸部には広大な酪農地帯が広がっています。周辺には巾着山や風蓮川などの自然景観も多く、地形の複雑さが特長です。また、南方向には根室市湖南、西側は明郷及び別海町奥行と隣接し、風蓮湖の対岸には別海町走古丹と本別海があります。

漁業が営まれており、特に沿岸漁業が盛んです。ホッキガイやアサリ、カレイなどが主に水揚げされ、2015年にはニシンの水揚げが急増したことが報じられました。操業は夫婦で行われており、地元の漁業組合に所属しています。

酪農に関しては、新酪農村計画に基づき「新酪道路」が整備され、1戸あたり50頭から100頭の乳牛を飼育するための設備が整えられています。槍昔は道東あさひ農業協同組合の管轄区域でもあります。

環境の変化

この地域の土地利用は、過去数十年で変化してきました。1950年には湿地が広がっていた槍昔も、1975年には湿地が減少し森林が増加しました。2000年には一部の湿地が湖面に変わり、荒れ地は畑地に転換されました。

歴史的背景

槍昔には古代のチャシ跡が存在し、近世には「アツウシベツ」として知られていました。交通の要所として、商業活動が活発だった時期もありました。しかし、明治時代の1879年には駅逓所の移転に伴い、その歴史は衰退します。戦後、入植者として樺太や千島列島からの人々が戻り、1950年には槍昔小中学校が設立されるなど、集落が再形成されていきました。

新酪農村の建設は1978年に始まり、その後交通の整備と牧場の設立が行われました。また、1987年には槍昔会館が設立され、地域のコミュニティに貢献しています。

自然保護と鳥類

槍昔にはラムサール条約に登録された湿地や鳥獣保護区があり、特に風蓮湖畔ではタンチョウの営巣地が確認されています。2002年には日本野鳥の会によって保護区が設立され、環境の保護に取り組んでいます。この保護区はタンチョウを中心に、多様な野鳥が生息する重要な場所となっています。

交通とアクセス

槍昔には公共交通手段がなく、根室市道が通るのみです。最寄りの国道は約10キロメートル離れており、根室本線の厚床駅からも約20キロメートルの距離があります。アクセスの良さはあまりありませんが、のどかな風景を楽しみながらの道中は、訪れる価値があります。

まとめ

槍昔は自然環境が豊かで、漁業と酪農が盛んな地域です。歴史的な背景や文化、自然保護への取り組みからも価値ある町と言えるでしょう。

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