樋口尚文

樋口尚文について

樋口尚文（ひぐち なおふみ、1962年4月生まれ）は、映画評論家および映画監督として幅広い分野で活躍する人物です。佐賀県の唐津市で生まれた樋口は、若い頃から映画に強い関心を抱き、特に中学3年生の時に観た大林宣彦監督の映画『 HOUSE 』がその後の道を大きく左右しました。彼はその感動をもとに大林監督に連絡し、映画現場の一端に触れるチャンスをつかみました。その際、彼は日本映画界の現実に触れたことが大きな影響を与えました。

樋口は芝中学校・高等学校を経て早稲田大学政治経済学部を卒業しました。大学時代からは8ミリ映画を制作し、1983年には「ぴあフィルムフェスティバル」に参加。その後、ダゲレオ映像評論賞を受賞し、映画評論の執筆を本格化させます。1985年には初の映画評論集を出版し、1987年に電通に入社しました。この期間中に多くのCMプランニングを手掛け、特に黒澤明の名作を基にした作品に寄与しました。

樋口は30年以上にわたり映画業界に身を置きつつ、映画評論や監督としての活動も続けています。彼はキネマ旬報や朝日新聞、映画秘宝などで鋭い評論を発表し、2021年には『大島渚全映画秘蔵資料集成』を刊行し、キネマ旬報映画本大賞2021で第一位を受賞しました。また、長寿連載「テレビ・トラベラー」も手掛け、テレビドラマの時評を約17年間にわたって行ってきました。

さらに、樋口は日本文藝家協会の会員となり、審査委員としても多くの映画関連コンペティションに参加しています。2013年には、映画『インターミッション』を初監督作品として発表するなど、彼の監督業も本格的にスタートしました。続いて2018年には『葬式の名人』を監督し、話題を呼びました。この映画は全国で公開され、高い評価を得ています。

樋口の活動は映画だけに留まらず、文化発信拠点としての活動も行っています。2022年には東京都神保町にシェア型書店「猫の本棚」を開店し、映画や文化に関する情報発信の場を提供しています。彼の幅広い知識と経験を通じて、映画や文化をより多くの人々に伝えようという彼の意欲が感じられます。

著作と監督作品

樋口の著書には、『ポスト・ヌーヴェル・ヴァーグ』（1985年）、『映画の復讐』（1992年）、『黒澤明の映画術』（1999年）、『大島渚のすべて』（2002年）などがあり、ジャンルやテーマも多岐にわたります。また、映画に関する著作だけでなく、テレビドラマやコマーシャルについても鋭い視点から分析し、多くの支持を得ています。

監督作品についても、樋口は常に新しい挑戦を続けています。彼のデビュー作『インターミッション』は、銀座シネパトスを舞台にした作品で、秋吉久美子や染谷将太を起用し、高く評価されました。

次回作の『葬式の名人』では、川端康成の原案を基にしたストーリーが展開され、前田敦子、高良健吾など実力派の俳優を揃え、特に大阪府茨木市の市制施行70周年記念事業としても位置付けられました。

労働と影響

樋口の影響は、映画の枠を超えた多様な分野に及んでいます。彼の評論や監督業は、映画界だけでなく、一人一人の日常に密接に関係していることを示しており、これからも映画と文化の発展に貢献し続けることでしょう。樋口尚文の活動は、若い映画人たちにとっても大きな指針となり、影響を与え続けているのです。

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