樋口晶之

樋口 晶之

樋口 晶之（ひぐち まさゆき）は、1954年2月24日に愛知県名古屋市に生まれ、日本の音楽シーンにおいて確固たる足跡を残したドラマーです。2017年7月3日に惜しまれつつこの世を去りました。

15歳という若さでプロの音楽家としてのキャリアをスタートさせた樋口は、1970年代に入ると、日本のロック史に名を刻むグループ、ブルース・クリエイションに参加します。その後、バンド名をクリエイションと改め、約10年間にわたりその中核メンバーとして活動しました。特に、クリームのベーシストとして知られる世界的ミュージシャン、フェリックス・パパラルディとの共演は特筆すべきものであり、彼らと共にワールドツアーを行うなど、国際的な舞台でもそのドラミングを披露しました。

クリエイションを離れた後、樋口はフリーランスのドラマーとして、さらに活動の幅を広げます。カルメン・マキ&OZでは、かつてクリエイションでも共に活動したベーシストの鳴瀬喜博との強力なリズムセクションを形成しました。また、Chaos、土岐英史&Rio Son、宇崎竜童率いる竜童組など、ジャンルを超えた数多くのバンドやプロジェクトに参加し、その多様な音楽性に対応できる確かな技術と表現力を見せつけました。

バンド活動と並行して、彼は多くの著名なアーティストたちのライブやレコーディングをサポートしました。ジョー山中、時任三郎、萩原健一、柳葉敏郎、井上堯之といった、日本の音楽界や俳優界の第一線で活躍する面々との共演は、彼のドラマーとしての信頼性の高さを物語っています。

自身のリーダーシップのもと、新たなグループも結成しています。ベーシストの包国充らと共に結成したBEATNUTS、そして夏木マリを中心に斎藤ノブ、久米大作、ichiro、高橋"Jr."知治といった実力派ミュージシャンが集結したGIBIER du MARIでは、バンドメンバーとして創造的なセッションワークを展開しました。また、ザ・ゴールデン・カップスや再びジョー山中のサポートドラマーとしても精力的に活動を続けました。

演奏活動に加えて、樋口は後進の育成にも尽力しました。音楽の専門学校であるアン・ミュージック・スクールで講師を務め、若い世代のミュージシャンたちに自身の経験と技術を伝えました。

晩年においても彼の音楽への情熱は衰えませんでした。2003年に再結成されたザ・ゴールデン・カップスのライブに参加して以降、ボーカルに専念することになったマモル・マヌーに代わり、サポートドラマーとしてゴールデン・カップスのサウンドを支え続けました。

しかし、長年にわたり日本のロック・シーンを支え続けた樋口のキャリアは、病によって終わりを迎えました。2017年7月3日、彼は肺がんを患い、63歳で永眠しました。そのパワフルかつ繊細なドラミングは、多くの音楽ファンやミュージシャンの心に深く刻まれています。

彼の参加した主なバンドやプロジェクトは以下の通りです。

ブルース・クリエイション
クリエイション
カルメン・マキ&OZ
竜童組
今村祐司バンド
GIBIER du MARI

樋口晶之は、その類まれなるドラミング技術と豊かな音楽性で、日本のロック、ブルース、フュージョンなど、様々なジャンルの音楽に貢献しました。多くのアーティストから信頼される存在であり、その功績は今後も語り継がれることでしょう。

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