模造紙

模造紙とは

模造紙とは、一般的に以下の2つの意味で用いられる言葉です。

1. 紙種としての模造紙
- 化学パルプを原料とした洋紙の一種で、特に光沢があることが特徴です。
- かつては和紙の「局紙」を模倣して作られたことからこの名があります。
- 主に包装紙や伝票用紙、薬包紙などに用いられ、パラフィン加工を施してキャラメルの包装紙に使われることもあります。
- 古典的な製法では亜硫酸パルプを使い、填料を入れずにヤンキー抄紙機で製造されていましたが、現代ではクラフトパルプが主流です。
- 強度が高く、光沢に富むのが特徴で、かつてはA模造、B模造、C模造の3種類がありましたが、現在ではA模造のみが生産されています。
- 局紙は、1877年頃に開発された三椏紙の一種で、パリ万博で好評を博し、証券用紙やヴェルサイユ条約の原本にも使用されました。
- その後、オーストリアの製紙会社が局紙に似せた洋紙を生産し、日本にも輸出されました。これが「模造日本紙」と呼ばれ、包装などに広く使われるようになりました。
- 日本では1913年に国産化され、改良を重ねて現在の模造紙に至っています。

2. 文具としての模造紙
- 大判の紙で、描画や下図、壁新聞、ポスター発表など、掲示物の作成に用いられます。
- 一般的に四六判（788×1091 mm）のサイズで、ロール状で販売されています。
- 白、黄色、ピンク、薄緑、水色など様々な色があり、方眼が印刷されたものもあります。
- 文具としての模造紙は、紙種としてのB模造に由来するという説もありますが、現在の製品の紙種は上質紙とみなされています。
- 1960年代までは、学会発表で主要なプレゼンテーション道具として使用され、専用の器具と共に用いられていました。
- アメリカでは同様の用途の紙を「ブッチャーペーパー」と呼びます。

地域による別名

模造紙には、地域によって様々な別名が存在します。

大判紙：山形県
大用紙：新潟県（大きな用紙に由来）
雁皮：富山県（和紙の雁皮紙に由来）
B紙：愛知県・岐阜県（B1判に近いサイズ、またはB模造紙に由来）
鳥の子洋紙：愛媛県・香川県・沖縄県（和紙の鳥の子紙に由来）
広用紙：熊本県、長崎県（広い用紙に由来）
広幅用紙：鹿児島県

関連事項

グラシン：模造紙と類似の製法を持つ薄葉紙ですが、透明性や高密度性が求められ、印刷や筆記には用いられません。

外部リンク

「洋紙と用紙」第22回「模造紙」という名前（その1）：紙種としての模造紙について解説しています。
造形ファイル: 模造紙（武蔵野美術大学）：大判の紙としての模造紙について解説しています。

まとめ

模造紙は、紙の種類を表す言葉であり、文具としても利用される言葉です。かつては和紙を模倣して作られた歴史を持ち、時代と共に変化を遂げてきました。現代では、様々な用途で利用され、地域によっては独自の呼び名で親しまれています。

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