横道萬里雄

横道 萬里雄の紹介

横道萬里雄（よこみち まりお、1916年10月12日 - 2012年6月20日）は、日本の能楽に関する研究、創作、演出の分野で大きな功績を残した著名な学者であり能楽師です。東京芸術大学の名誉教授であり、東京文化財研究所の名誉研究員としても知られています。彼は、能楽の学問において著名な地位を築くと同時に、新作能の創作を通じてこの伝統文化の発展にも寄与しました。

生い立ちと教育

横道は東京府で生まれ、暁星小学校や中学校に通いました。そこでの同級生には後に著名な作曲家である柴田南雄がいます。その後、横道は東京高等学校を経て東京帝国大学の理学部動物学科に進学し、1941年に文学部国文科を卒業しました。彼の学問への情熱は、文化財や伝統芸能の研究に向かうきっかけとなりました。

能楽への貢献

1953年、横道は東京文化財研究所の芸能部に文部技官として就職し、以降音楽舞踊研究室長や芸能部長として活躍しました。彼は1964年に表章との共編による『謡曲集』で芸術選奨文部大臣賞を受賞し、1976年には国立能楽堂設立準備専門調査会の委員としても活動しました。

東京芸術大学での教授としての活動において、横道は1976年から1984年まで楽理科の教授を務め、1984年には沖縄県立芸術大学附属研究所の教授および所長に就任しました。彼は、能楽師と連携し、戦後の能楽を理論的に探求し、アカデミックな視点から解明しました。これにより能楽研究の重要性を改めて示しました。

新作能とその影響

横道は新作能の創作にも挑み、1949年に発表した「鷹の泉」をはじめ、1953年の「山室山」、1967年の「鷹姫」を世に送り出しました。「鷹の泉」は、ウィリアム・バトラー・イェイツの影響を受けて脚色された作品で、戦前の作品とは異なる完成度が評価されましたが、後に観世寿夫らが従来の能の構造に対して不満を示し、それに応じて改作されたのが「鷹姫」です。この作品は、新たな演出スタイルを取り入れ、従来の枠を超えようとする意欲的な試みでした。

受賞歴と功績

横道は数多くの受賞歴があり、1983年には紫綬褒章を受章、2011年には文化功労者としてその功績が認められました。また、著書や編著により能楽の研究成果を広く伝え、多くの人々に影響を与えました。代表的な著作には『能劇の研究』や『能と狂言の世界 対談 五人の人間国宝にきく』などがあります。

歴史の中での位置づけ

2012年6月20日、横道は肺炎により95歳で亡くなりました。その生涯を通じて彼は能楽の普及と発展に大きく寄与し、後世の研究者や演者に多大な影響を与え続けています。横道の業績は、日本の文化芸術の重要な一端として今も人々の記憶に残っています。

もう一度検索