横須賀補給センター

横須賀補給センター

横須賀補給センター（U.S. Fleet and Industrial Supply Center Yokosuka）は、アメリカ海軍における兵站活動を担う組織である「米海軍補給センター（FISC）」を構成する施設の一つです。その中でも、特に西太平洋地域においては、アメリカ海軍にとって最も規模の大きい補給拠点としての役割を果たしています。

名称

英語での正式名称は『U.S. Fleet and Industrial Supply Center Yokosuka』ですが、通常は『FISC Yokosuka』あるいは『FISCY』と略して呼ばれます。日本語での呼び方は一つに定まっておらず、『横須賀艦隊産業補給センター』や『横須賀海軍補給センター』など、いくつかの訳語が使われることがあります。ただし、アメリカ海軍自身は『横須賀補給センター』という名称を使用しています。

役割と機能

この組織はアメリカ海軍の機関ではありますが、その主要な役割は、日本国内に点在するアメリカ海軍の貯油施設などを管理・運営し、様々な物資や燃料を補給することにあります。所属は海軍ですが、実際に補給を行う対象は海軍艦艇や部隊にとどまりません。日本に駐留するアメリカ軍、すなわち在日米軍全体の多様な需要に対応しているとされています。

管理施設

横須賀補給センターは、沖縄県を除く日本列島各地に位置するアメリカ海軍の6つの貯油施設やドックなどを管理・運用しています。主な施設は以下の通りです。

神奈川県（横須賀市・横浜市）
吾妻倉庫地区（FAC3090、吾妻貯油施設とも。神奈川県横須賀市）：横須賀補給センターの拠点となる本部が置かれています。鶴見貯油施設と並んで、在日米軍にとって最大級の貯油施設の一つです。
鶴見貯油施設（FAC3144、神奈川県横浜市鶴見区）：主にアメリカ空軍横田飛行場や厚木海軍飛行場へ航空燃料などを供給しています。
横浜ノース・ドック（FAC3067、神奈川県横浜市神奈川区）：この施設自体はアメリカ陸軍が管理していますが、横須賀補給センターも燃料輸送などに利用しています。

青森県（八戸市ほか）
八戸貯油施設（FAC2006、八戸燃料ターミナルとも。青森県八戸市ほか）：アメリカ空軍三沢飛行場への燃料供給拠点となっています。

長崎県（佐世保市・西海市）
横須賀補給センターは、佐世保市にあるアメリカ海軍佐世保地区内に「佐世保分遣隊」または「佐世保支所」を設けています。佐世保艦隊基地隊からの人員や施設面の支援を受けながら、以下の3つの貯油施設を管理・運用しています。
赤崎貯油所（FAC5032、長崎県佐世保市）
庵崎貯油所（FAC5036、長崎県佐世保市）
横瀬貯油所（FAC5039、長崎県西海市）

過去に管理していた施設

小柴貯油施設（FAC3113、神奈川県横浜市金沢区）：過去に横須賀補給センターが管理していましたが、2005年12月14日に日本政府に返還されました。

これらの施設群を通じて、横須賀補給センターは、西太平洋地域におけるアメリカ海軍および在日米軍全体の活動を支える、極めて重要な兵站機能を担っています。

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