橘川武郎

橘川武郎（きっかわ たけお）

概要

橘川武郎は、1951年8月24日生まれの日本の経営学者です。東京大学名誉教授、一橋大学名誉教授の称号を持ち、現在は国際大学大学院国際経営学研究科の教授を務めています。専門分野は、日本経営史とエネルギー産業論であり、特に日本の電力、石油、ガスといったエネルギー産業の歴史と現状に関する研究で知られています。また、企業金融やプロ野球に関する研究も行い、多岐にわたる分野でその知識と見識を発揮しています。

経歴

1970年：東京教育大附属駒場高校卒業後、東京大学に入学。同大学教養学部自治会委員長を務める。
1975年：東京大学経済学部経済学科を卒業。
1977年：東京大学経営学科を卒業。
1983年：東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。青山学院大学経営学部専任講師に就任。
1987年：青山学院大学経営学部助教授に昇進。同年から1988年にかけてハーバード大学ビジネススクールに客員研究員として滞在。
1993年：東京大学社会科学研究所助教授に就任。
1996年：東京大学社会科学研究所教授に就任（2007年まで）。東京大学から博士（経済学）の学位を授与される。論文テーマは「日本電力業の発展と松永安左ヱ門」。
2007年：一橋大学大学院商学研究科教授に就任。
2013年：経営史学会の10代目会長に就任（2016年まで）。
2015年：東京理科大学大学院イノベーション研究科教授に就任。
2020年：国際大学大学院国際経営学研究科教授に就任。

その他、スイスザンクトガレン大学、韓国延世大学校、ドイツベルリン自由大学の客員教授を歴任。また、経済産業省・資源エネルギー庁関係の審議会委員などを務め、政策提言にも貢献しています。

研究活動

橘川教授の研究は、日本のエネルギー産業の歴史的変遷、特に電力業の発展に焦点を当てています。また、企業集団や財閥の研究、地域経済の活性化に関する研究も行っており、その研究対象は多岐にわたります。希望学プロジェクトにも初期から参加しており、釜石市や福井県を事例とした地域経済活性化の研究は、地域社会の再生に貢献する可能性を示唆しています。

主な著作

橘川教授は、数多くの著作を発表しており、その研究成果は学術界だけでなく、一般社会にも広く影響を与えています。主な単著としては、以下のようなものがあります。

『日本電力業の発展と松永安左ヱ門』（名古屋大学出版会、1995年、2022年にRA版）
『日本の企業集団 -財閥との連続と断絶』（有斐閣、1996年）
『日本電力業発展のダイナミズム』（名古屋大学出版会、2004年）
『松永安左エ門 生きているうち鬼といわれても』（ミネルヴァ書房、2004年）
『資源小国のエネルギー産業』（芙蓉書房出版、2009年）
『原子力発電をどうするか 日本のエネルギー政策の再生に向けて』（名古屋大学出版会、2011年）
『東京電力 失敗の本質 「解体と再生」のシナリオ』（東洋経済新報社、2011年）
『電力改革 -エネルギー政策の歴史的大転換』（講談社、2012年）
『歴史学者 経営の難問を解く -原子力・電力改革から地球温暖化対策まで』（日本経済新聞出版社、2012年）
『日本石油産業の競争力構築』（名古屋大学出版会、2012年）
『出光佐三 黄金の奴隷たるなかれ』（ミネルヴァ書房、2012年）
『戦前日本の石油攻防戦 1934年石油業法と外国石油会社』（ミネルヴァ書房、2012年）
『「希望学」日本再生への道』（化学工業日報社、2013年）
『日本のエネルギー問題』（NTT出版、2013年）
『エネルギー産業』（日本経営史研究所、2015年）
『石油産業の真実』（石油通信社、2015年）
『火力発電と化石燃料の未来形』（エネルギーフォーラム、2015年）
『応用経営史 - 福島第一原発事故後の電力改革・原子力改革への適用』（文眞堂、2016年）
『財閥と企業グループ』（日本経営史研究所、2016年）
『土光敏夫 ビジョンとバイタリティをあわせ持つ改革者』（ミネルヴァ書房、2017年）
『ゼロからわかる日本経営史』（日本経済新聞出版社、2018年）
『イノベーションの歴史』（有斐閣、2019年）
『エネルギー・シフト』（白桃書房、2020年）
『災後日本の電力業』（名古屋大学出版会、2021年）
『フクシマ後10年』（文眞堂、2021年）
* 『化学業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書』（技術評論社、2022年）

これらの著作は、日本のエネルギー政策、企業経営、歴史研究に重要な貢献をしています。

また、共著や共編著も多数あり、幅広い分野で研究者と共同研究を進めています。

受賞歴

橘川教授は、その研究活動に対して数々の賞を受賞しています。例えば、『日本電力業発展のダイナミズム』で2005年のエネルギーフォーラム賞大賞を受賞、『松永安左エ門 生きているうち鬼といわれても』で2007年度の企業家研究フォーラム賞（著作の部）を受賞しています。また、『日本のエネルギー問題』で2014年のエネルギーフォーラム賞優秀賞を受賞しています。

まとめ

橘川武郎教授は、日本経営史、特にエネルギー産業史の分野で卓越した研究を行っているだけでなく、地域経済の活性化にも貢献している、現代日本を代表する経営学者の一人です。その幅広い知識と深い洞察力は、今後の日本社会の発展においても重要な役割を果たすことが期待されます。

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