櫛崎城

櫛崎城（雄山城）：関門海峡を望む要衝の城

櫛崎城は、現在の山口県下関市長府宮崎町にあった日本の城です。別名、串崎城、雄山城、長府城、長府陣屋とも呼ばれ、関門海峡を望む高台に位置していました。現在は関見台公園として整備されています。

概要

櫛崎城は、周防灘に突き出した半島の高台に築かれ、関門海峡を望む要衝でした。現在の関見台公園は城域の一部で、当時はさらに北側の豊功神社まで広がっていたと考えられています。城郭図巻によると、松崎口・浜之坂口・三軒屋口に櫓が設けられていました。櫛崎城址の石碑がある付近は、大手門二重櫓があった松崎口跡とされています。

串崎という名前は、鎌倉時代の元寇で討ち取った敵兵の首をこの海岸に埋めたことに由来すると伝えられています。周辺の丘陵部には「お城山」や「詰の丸」といった地名が残り、関見台となっている場所は城の本丸があった「お城山」とされています。

歴史

櫛崎城の歴史は、天慶3年（940年）に藤原純友の配下である稲村平六景家がこの地に拠ったという伝承がありますが、詳細は不明です。

戦国時代には、大内氏の重臣である内藤隆春が築城しました。「温故私記」によると、永禄12年（1569年）9月には、内藤氏の家臣である勝間田盛長が城番として置かれました。

慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いで毛利氏が防長二州に減封されると、山口城にいた毛利秀元が支藩である長府藩の居城として改修し、雄山城と称しました。しかし、元和元年（1615年）に江戸幕府が定めた一国一城令によって取り壊され、隣接地に居館が置かれました。その後、幕末に外国船との戦いに備えて勝山御殿に移るまでの約250年間、長府藩の政庁として機能し、藩主の居館となりました。

幕末には、攘夷のために櫛崎城跡も砲台として利用され、東側から海峡に入ってくる外国船をいち早く発見する役割を担いました。真鍮砲3門と木砲4門が配備されていましたが、四国艦隊下関砲撃事件の休戦協定が結ばれた翌日の元治元年（1864年）8月9日に、戦利品として持ち去られました。

現在の状況

関見台公園から住宅地にかけて、石垣の一部が現存しています。公園内には復元された石垣や天守台も整備されています。居館（政庁）跡地は、山口県立豊浦高等学校の敷地となっています。豊浦高校の南東側には無料駐車場があり、駐車場から北に向かって現存する石垣が続いています。

下関市立長府博物館には、破却時に取り外された大鬼瓦が展示されています。

その他

関見台公園には、以下の施設があります。

四阿：石垣の近くにある屋根付きの休憩所
天守台登り口：「串崎城址」パネル看板
「くじら館」跡：本丸跡に残る鯨の形の建造物

駐車場近くの石垣の上にある木造家屋は、一般民家であり、往時の遺構ではありません。

支城・支藩政庁

清末陣屋：下関市清末にあった清末藩（長府藩の分家）の陣屋

アクセス

JR山陽本線長府駅下車後、「長府駅前」バス停から「下関ゆき」バスに乗車し、「松原バス停」で下車、徒歩約10分
関見台公園に駐車場あり

関連項目

下関市立水族館：廃館となった鯨館跡が隣接
門司城：櫛崎城から関門海峡を挟んで望むことが可能
長府藩
毛利秀元

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