歌川八重子

歌川 八重子（うたがわやえこ）

歌川 八重子は1903年8月22日に生まれ、1943年9月13日に亡くなった日本の女優である。本名は深川 政江。彼女は日本映画の黎明期において特に重要な存在とされ、数多くの作品に出演した。妹には女優の歌路英子、いとこには映画監督の深川ひさしがいる。

来歴・人物

兵庫県神戸市兵庫町に生まれ、初めは神戸市立女子商業学校に通っていたが、後に中退。1918年、神戸の聚楽館で井上浩一座のオペラを観たことがきっかけで舞台芸術に興味を持ち、翌年から井上の劇団「紅劇団」で活動を開始した。その後、満州・シベリアの巡業に参加したが、劇団が天津で解散。その後は、エンパイヤ劇場でロシア人舞踏家から舞踏を学んだ。

1920年に帰国後、村田栄子の一座に参加し、1921年には日本歌劇協会の設立に寄与した。1922年には松竹蒲田撮影所に入社し、『野の花』で映画デビューを果たし、同年に多数の作品に出演した。

その後、帝国キネマに移籍し、多くの映画に出演。この時期の作品では松本泰輔とのコンビが特に評価され、松竹での競演者たちと並ぶ存在として認識されるようになった。1925年には帝国キネマを離れ、アシヤ映画に加わったが、1926年に復帰。彼女のキャリアはここからさらに発展し、1930年代には脇役もこなしながら、「母物映画」では主役を演じることもあった。

1936年以降、脇役としての活動が増え、嵐寛寿郎プロダクションや阪東妻三郎プロダクションの作品にも参加した。1941年には最後の作品『母の灯』の公開をもって、女優業から引退した。

歌川八重子は1943年、40歳という若さでこの世を去った。その短い生涯にもかかわらず、彼女は日本映画界に多大な影響を与え続け、数多くの名作に名を刻んだ。

主なフィルモグラフィ

• - 松竹蒲田撮影所

- 『野の花』 1922年
- 『白蓮紅蓮』 1922年
- 『屑七の家』 1922年
- その他、同年内に数作出演

• - 帝国キネマ

- 『恋以上の恋』 1923年
- 『大尉の娘』 1924年
- 『金色夜叉』 1924年 - お宮役
- その他、多数の作品

• - 新興キネマ

- 『噂の女』 1931年
- 『浄婚記』 1937年
- その他にも多くの作品に出演

そのほか、アシヤ映画製作所や各プロダクションでの活動を通じて、彼女は多くの映画で重要な役割を果たしてきた。彼女の名前は今なお日本の映画史に残り続けている。

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