歌川芳政

歌川芳政（うたがわ よしまさ、生没年不詳）は、江戸時代に活躍した浮世絵師です。

来歴

歌川国芳の門人であり、本姓は三浦、名は政次郎。一天斎、静斎と号しました。作画期は天保から安政の頃にかけてで、役者絵や合巻の挿絵などを描いています。

興味深いことに、「芳政改国安」と落款された版下絵「木曽義仲乱防法住寺殿炎上」（38.3×79.7cm）が現存しています。このことから、芳政は後に国安と改名した可能性が示唆されており、二代目国安と同一人物であるという説も存在しますが、確証は得られていません。

作品

芳政の作品には、以下のようなものが確認されています。

『時近江甲賀勝時』 合巻 ※東里山人作、天保10年（1939年）刊行
『有智治春能七種』 合巻 ※三浦錦二作、天保11年刊行
「飾間宅兵衛実ハ寺岡平右衛門・市川海老蔵　おいし・尾上菊五郎」 大判錦絵2枚続 ボストン美術館所蔵 ※天保4年3月、江戸河原崎座『仮名手本忠臣蔵』より
「勧善懲悪四季夜鑑」 大判錦絵2枚続
「新板せたい道具尽し」 大判錦絵 亀山市歴史博物館所蔵

これらの作品を通して、芳政の画力や当時の文化を垣間見ることができます。特に、ボストン美術館所蔵の錦絵は、当時の役者絵の様子を鮮やかに伝えています。

参考文献

歌川芳政についてより詳しく知りたい場合は、以下の文献が参考になります。

日本浮世絵協会編 『原色浮世絵大百科事典』（第2巻） 大修館書店、1982年
* 『歌川国芳とその一門展』 浮世絵 太田記念美術館、1990年

これらの文献を参照することで、歌川芳政の生涯や作品について、より深く理解することができるでしょう。

歌川芳政は、その生涯や作品について不明な点も多いですが、歌川国芳の門人として、江戸時代の浮世絵界に足跡を残した絵師の一人です。彼の作品は、当時の人々の生活や文化を今に伝える貴重な資料であり、今後の研究によって、その全貌が明らかになることが期待されます。

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