正本堂 (大石寺)

正本堂（しょうほんどう）

正本堂は、静岡県富士宮市に位置する日蓮正宗の総本山大石寺にあった宗教建築です。1972年の完成時には、信仰のシンボルとして重い使命を担っていました。

概要

正本堂は、本尊を安置するための重要な施設として設計されました。建築は、著名な建築家の横山公男が手掛け、創価学会第3代会長の池田大作がその願主として名を連ねました。1967年に着工され、1972年に完成し法要が行われました。その規模は、建築面積39,368 m²、延床面積35,155 m²、高さ66 mにわたりました。信徒席は5,400席、僧侶席は600席という広大なものでした。

正本堂は、未来の広宣流布の実現の象徴としての意味を持ち、「鶴が羽ばたく姿」をイメージしたユニークなデザインでした。この設計には「半鋼性吊り屋根構造」が採用され、上から吊り下げながらも下から支えるという当時としては先進的な技術が用いられました。

建設の資金は主に信徒からの寄付によって賄われ、1965年に行われた寄付集めでは、355億円以上を集めることに成功しました。しかし、1998年、創価学会との分裂に伴い、50億円の費用がかかり正本堂は解体される運命にありました。

施工と施設

正本堂建設には、多数の企業が関与しました。建築主は正本堂建設委員会で、設計監理には横山公男を通じて連合設計社が名を連ねました。施工企業には大成建設、清水建設、大林組、竹中工務店、鹿島建設、戸田建設などが参加しました。

正本堂には数々の重要な施設が含まれています。法庭は約13,000 m²で、晴天時には上側の広場が使用され、雨天時には下側の広場が使用されました。中央には直径60mの池があり、そこには噴水が舞い上がっていました。円融閣は正面玄関で、法庭と同様に上下二層構造を持ち、巨大な柱が並んでいました。

さらに、思逸堂と呼ばれる玄関ホールや礼拝室の妙壇には、外形約17mの円筒形須弥壇があり、そこには本尊が安置されていました。本堂内部では、座席には音響設備が設けられ、信徒が自然に祈りを捧げられるよう工夫がなされていました。

沿革と意義

1967年から1972年までの間に、正本堂の建設は多くの法要を通じて進められました。完成後も、様々な法要が盛大に執り行われ、その都度多くの信徒が集まりました。しかし、その後、宗門との対立が深まり、1991年には創価学会が破門される事態に至りました。

正本堂へ寄付した信徒の信仰もまた、宗門の動きに影響を受けました。創価学会の破門後、正本堂は維持管理が困難になり、1998年の解体決定に繋がりました。解体作業は45億円の費用をかけて始まり、多くの信徒がその決定に悲しみや不満を示しました。

解体後

正本堂解体後の跡地には、2002年に新たに奉安堂が建設されました。この新しい建物は、正本堂の収容人数に匹敵するもので、再び信仰の場として利用されています。奉安堂は、正本堂の基礎を活かして建設され、当時からの信仰の継承を図る形となりました。

正本堂はその独特の建築様式と共に、宗教の歴史において重要な役割を果たしたことは間違いありません。

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