正法寺 (大津市)

正法寺（しょうほうじ）

正法寺は、滋賀県大津市に位置する真言宗醍醐派の寺院で、山号は岩間山です。本尊は千手観世音菩薩であり、開山は加賀国白山を開いたことで知られる泰澄（たいちょう）です。この寺はまた、別名を岩間寺（いわまでら）とも呼び、西国三十三所の第12番札所としても知られています。

本尊とその背景

正法寺の本尊である千手観世音菩薩は、泰澄が養老6年（722年）に元正天皇の病気平癒のために祈願したことに由来します。泰澄は、岩間山の桂の大樹から千手陀羅尼を感得し、その木を加工して観音像を刻みました。この像には元正天皇の念持仏である金銅千手観音像が収納され、寺の始まりとされています。

本尊の金銅千手観音立像は、高さ約15センチの秘仏であり、毎晩日没時に秘仏は地獄を駆け巡り、人々を救済すると言われています。「汗かき観音」とも呼ばれ、多くの信仰を集めています。1990年と2009年から2010年にかけては特別な開扉が行われ、多くの参拝者が訪れました。

寺院の歴史と境内

正法寺は、岩間山南麓の標高390メートルに位置し、周辺には十分な自然が広がっています。歴史的には、天正5年（1577年）に再建された本堂や、不動堂などがあります。それらは常に修復や改修が行われ、現在も多くの参拝者に利用されています。

境内には観音堂があり、西国三十三所の各札所の本尊を模した33体の観音像が祀られています。この他にも、不動堂、夫婦桂、蛙池（別名・芭蕉の池）などの見どころが点在しています。特に蛙池は、江戸時代に松尾芭蕉が詠んだ句「古池や蛙飛びこむ水の音」として有名です。

また、「日本一の長寿桂」と称される樹木も存在し、霊木としての価値があります。その他、稲妻龍王社や護法龍王社、八大龍王堂など、多くの社も参拝客を迎え入れています。

文化財と年中行事

正法寺には、平安時代後期に作られた木造地蔵菩薩立像や鎌倉時代の木造不動明王とその二童子の立像などがあり、重要文化財として指定されています。また、大津市の指定有形文化財も所蔵しています。

年中行事としては、元旦から始まり毎月17日に行われる縁日、修正会、雷除け法要など多岐にわたります。特に縁日の日には、多くの参拝者が訪れ、さまざまな伝統行事が行われるため、この時期は特に賑わいます。

アクセス情報

正法寺にアクセスするには、JR琵琶湖線の石山駅から京阪バスを利用するのが便利です。また、自動車の場合は京滋バイパスから約15分の距離に位置し、駐車場も完備しています。

自然豊かで歴史的な背景を持つ正法寺は、穏やかな雰囲気の中で心を落ち着かせることができる場所です。参拝者は、寺の歴史や文化を感じながら心癒されることでしょう。

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