正親町実子

正親町実子について

正親町実子（おおぎまち じつこ）は、1297年に生まれ、1360年に逝去した女性で、花園天皇の宮人として知られています。彼女の父は正親町実明、母は正親町三条公貫の娘であり、実子には寿子内親王、源性入道親王、直仁親王、儀子内親王といった子供たちがいます。女院号は「宣光門院」とされています。

彼女の経歴

実子は、祖父洞院公守の猶子として後宮に入っており、花園天皇の日記には「南御方」としての名前が登場します。1318年には寿子内親王を、1327年には源性法親王を生むなど、天皇の深い愛情を受けながら、その地位を確立していきました。1332年1月8日には従三位に叙せられ、同年12月には准三宮となりました。

また、赤松則村が京都を攻めた際、実子は六波羅探題に避難しましたが、退避の勧めを毅然として拒否したというエピソードも伝わっています。1338年には女院となり、宣光門院の称号を賜ります。1348年には、光厳上皇の立会いの下、出家して遍照智と名乗ることとなりました。

琵琶の達人として

彼女は琵琶の名手でもあり、花園上皇は彼女を称えて度々管弦講を開きました。実子が皇室に伝わる琵琶「玄上」を奏でる機会を得たことからも、その技量が評価されていたことが理解できます。

直仁親王についての考察

直仁親王は花園天皇の皇子ではなく、天皇の甥である光厳天皇との関係から生まれたとされています。このことについては、現代の研究でも有力説となっています。直仁親王は、光厳上皇の意向により出生の秘密を秘めたまま崇光天皇の皇太子となり、その後の正平一統によって廃位されました。これは、花園天皇への恩に報いるものであったとされる反面、実子の異母兄である正親町公蔭の妻が足利尊氏の正室と姉妹関係にあったことから、光厳上皇による政治的意図もあったとも考えられています。

当時、2代の天皇に寵愛された女性は珍しくなく、正親町守子や五辻忠子のような事例も見られました。実子はそのような時代背景の中で、特に重要な人物とされたことが理解できます。彼女の存在は、当時の天皇制や後宮の権力構造において、非常に大きな意味を持っていたのです。

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