直仁親王

直仁親王：南北朝時代の皇族

直仁親王（なおひとしんのう）は、建武3年（1336年）頃に生まれ、応永5年5月14日（1398年6月2日）に亡くなった、南北朝時代の持明院統の皇族です。花園天皇の皇子とされていますが、光厳上皇の実子であるという説が有力視されています。

生涯

本来、花園天皇は持明院統の傍流であり、皇位は後伏見天皇、光厳天皇、崇光天皇の系統に引き継がれるはずでした。しかし、直仁親王は元服後の貞和4年（1348年）に光厳天皇の猶子となり、皇位継承権を得て、崇光天皇の皇太弟に立てられました。

光厳上皇は、崇光天皇に宛てた書状の中で、直仁親王が実子であることを告白し、崇光天皇の後は直仁親王の系統に皇位を譲るように指示しました。この書状は長らく秘匿されていましたが、内容の信憑性は高いと考えられています。

観応の擾乱中の正平6年（1351年）、足利尊氏が南朝に降伏したことで、南朝軍が京都を制圧し、北朝の皇族が拘禁されました。直仁親王も廃太子とされ、賀名生に連行されました。

正平7年（1352年）には、南朝軍によって光厳・光明・崇光の三上皇と共に男山八幡宮に幽閉され、その後、大和国吉野、賀名生へと移されました。

文和3年（1354年）には河内金剛寺に移されますが、延文2年（1357年）に光厳上皇、崇光上皇と共に京都へ帰還しました。しかし、既に足利尊氏によって後光厳天皇が擁立されており、復位は叶いませんでした。

失意のうちに出家した直仁親王は、父の御所であった萩原殿に隠棲し、南北朝合一後に亡くなりました。萩原殿を相続したことから萩原宮とも呼ばれました。

子女と所領

『本朝皇胤紹運録』には記載されていませんが、『看聞日記』などから、周高西堂と任西堂という2人の皇子と、尊立という皇女がいたことがわかっています。しかし、全員が出家したため、子孫は残っていません。

直仁親王の出家により、長講堂領などの所領を継承する予定は取り消されました。その後、所領を巡って紛争が発生しましたが、最終的には伏見宮領に編入されました。

人物

直仁親王は、皇位継承を巡る政争に翻弄された悲劇的な皇族でした。しかし、その存在は、南北朝時代の複雑な権力構造を理解する上で重要な意味を持っています。

系図

（省略）

脚注

（省略）

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