正親町家

正親町家：由緒ある公家から華族へ

正親町家（おおぎまちけ）は、代々朝廷に仕えた名門公家であり、華族制度成立後は伯爵家として名を連ねた家系です。その歴史は古く、藤原北家閑院流洞院家の支流にあたり、羽林家の家格を有していました。家紋は三藤巴です。

歴史：朝廷と幕府、そして近代日本へ

正親町家の祖は、太政大臣洞院公守の次男である正親町実明です。洞院家は室町時代に断絶しましたが、正親町家は清華家並みの格式を保ちました。家名は、屋敷が正親町東洞院南西角にあったことに由来し、裏築地または裏辻とも呼ばれていました。

鎌倉時代後期から南北朝時代にかけて、実明の娘は花園天皇の宮妃となり、皇室との繋がりを築きました。江戸時代には352石6斗の家禄を受け、広小路通新道に屋敷を構え、一条家の家札を使用していました。家業は有職故実と雅楽で、菩提寺は真如堂玉蔵院です。

江戸時代中期には、正親町公通が山崎闇斎に師事し、正親町神道を創始しました。公通の妹は柳沢吉保の側室となり、『松蔭日記』を著したことで知られています。また、寛政年間には、公明が尊号一件で朝幕間の折衝にあたり、一時逼塞を経験しました。

江戸時代後期には、実光の娘が仁孝天皇の宮妃となり、孝明天皇の生母となりました。幕末維新期には、実徳とその養子である公董が尊皇攘夷派として活躍し、公董は戊辰戦争で官軍の奥羽追討総督を務め、明治維新後は陸軍少将に昇進しました。

明治維新後、華族制度が成立すると正親町家は伯爵家に列せられ、実正が初代伯爵となりました。実正は埼玉県知事、侍従長、賞勲局総裁などを歴任し、貴族院議員も務めました。

2代伯爵の公和は小説家としても知られ、『白樺』の創刊メンバーの一人となりました。また、東京電工や日本電球などの重役も務めました。このように正親町家は、公家としての伝統を継承しつつ、近代日本においても政治、文化、経済など様々な分野で活躍しました。

系譜と主要人物

正親町家の系譜は、数多くの優れた人物を生み出しました。各時代の当主をはじめ、皇室との繋がりを持つ人物や、政治、軍事、文化で活躍した人物など、その歴史は多様な才能に彩られています。詳細な系譜は、参考文献などを参照ください。

まとめ

正親町家は、長い歴史の中で、朝廷、幕府、そして近代日本において重要な役割を果たした家系です。公家としての伝統と、近代における活躍を両立させた、日本の歴史において特筆すべき存在と言えるでしょう。その歴史と人物像は、日本の歴史を理解する上で貴重な資料となります。

参考文献

浅見雅男『華族誕生 名誉と体面の明治』
太田亮『姓氏家系大辞典』
小田部雄次『華族 近代日本貴族の虚像と実像』
華族大鑑刊行会『華族大鑑』
* 橋本政宣『公家事典』

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