武藤長蔵

武藤長蔵について

武藤長蔵（むとう ちょうぞう、1881年6月9日 - 1942年6月27日）は、日本の経済学者および歴史家で、経済史や経済学史を専門に研究した人物です。彼は特に長崎高等商業学校での教授職で知られ、経済教育に大いに貢献しました。彼の研究と業績は、長崎の地域学にも影響を与えています。

経歴

1881年、愛知県海部郡津島町で、武藤長八の二男として誕生した武藤は、1905年に東京高商専攻部を卒業後、東亜同文書院で講師として教鞭を執ることになりました。その後、1907年から長崎高等商業学校の教授に就任し、1909年から1912年までの3年間はアメリカ・イギリス・ドイツで商学の研究のため留学しました。この留学の間に彼は、小泉信三などの先人との交流を深めました。

長崎高等商業学校では、経済学史や鉄道論・銀行論・植民政策・交通論といった多彩な講義を担当し、1936年に名誉教授となった後も、教授としての活動を続けました。彼は1939年に『日英交通史之研究』という学位論文を提出し、経済学博士号を取得します。1942年には長崎市東山手で亡くなり、名古屋市東部の覚王山に墓所があります。

受賞と栄典

武藤長蔵は、経済学界への貢献が認められ、従三位・勲三等に叙されました。これは彼の専門分野における業績や教育に対する励みとなりました。

研究内容と業績

武藤の研究は商学を中心に展開されました。特に長崎の地に根差した対外交渉史の研究に力を入れ、古賀十二郎・永山時英と共に「長崎学三羽烏」として知られるようになりました。そして、日蘭・日英貿易や幕末の長崎に関する資料を長年にわたって収集し、彼の築いた書籍や資料は「武藤文庫」として長崎高商に寄贈されています。今日、この文庫は長崎大学附属図書館経済学部分館に保管され、長崎学の研究に利用されています。

1950年には、彼の功績を讃え、同学部キャンパス内に銅像が建立されるなど、名物教授として学生からも広く親しまれていました。

主要な著書

彼の著作には以下のものがあります。

• - 『日英交通史之研究』 内外出版、1937年
• - 『對外交通史論』 東洋経済新報社、1943年
• - 『海外文化と長崎』（山田憲太郎編）千倉書房、1977年

この他に、彼自身の略歴や著作目録も含まれており、彼の学術的足跡を知る上で重要なテキストとなっています。

家族・親族

武藤長蔵の父は武藤長八であり、彼の兄・長平も七高・一高・広島高師で教授を務めた教育者です。家族の中でも、教育に従事した者が多く、彼の学問的背景にも影響を与えたことでしょう。

まとめ

武藤長蔵は、日本の経済学の発展に寄与した著名な学者であり、その研究は今日の経済史研究にも大きな影響を与えています。彼の業績は長崎を中心に多彩で、彼の名は今後も多くの人々に語り継がれ続けることでしょう。

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