歳破神

歳破神（さいはしん）は、古代中国の陰陽道に起源を持つ方位神であり、特に暦注において重要な役割を担っています。八将神と呼ばれる八つの方位神の一つで、暦によっては「さいは」と表記されることもあります。その本地は、河伯大水神であると伝えられています。

歳破神は、土星（鎮星）の精霊とされ、同じく八将神の一柱である太歳神と密接な関係を持ちます。太歳神がその年の十二支に対応する方位に位置するのに対し、歳破神は常に太歳神の反対側の方位に位置します。この関係性から、歳破神は太歳神に攻撃され、破られる存在と見なされており、凶神として恐れられています。ただし、九星気学における方位学で用いられる「歳破（さいは）」とは異なる概念であることに留意が必要です。

歳破神は土の性質を持つと考えられており、この神が位置する方位に向かって土地を動かす行為、すなわち動土（土地の造成、庭づくりなど）や建築は避けるべきとされています。その他、移転、婚姻、旅行も凶とされ、特に船舶による旅行は大きな災いを招くと考えられています。これらの禁忌を犯すと、家や会社など、組織を代表するものに害が及ぶとされています。さらに、ペットや家畜を新たに迎え入れる行為も、歳破神の影響を受けると考えられ、凶とされています。

歳破神の在位は、太歳神と対になる形で決定されます。太歳神が十二支の方位に位置する際、歳破神は以下のように、その反対の方位に位置します。

• - 子（ね）の方位に対して、午（うま）の方位
• - 丑（うし）の方位に対して、未（ひつじ）の方位
• - 寅（とら）の方位に対して、申（さる）の方位
• - 卯（う）の方位に対して、酉（とり）の方位
• - 辰（たつ）の方位に対して、戌（いぬ）の方位
• - 巳（み）の方位に対して、亥（い）の方位
• - 午（うま）の方位に対して、子（ね）の方位
• - 未（ひつじ）の方位に対して、丑（うし）の方位
• - 申（さる）の方位に対して、寅（とら）の方位
• - 酉（とり）の方位に対して、卯（う）の方位
• - 戌（いぬ）の方位に対して、辰（たつ）の方位
• - 亥（い）の方位に対して、巳（み）の方位

歳破神は、その凶意から、暦注において特に注意すべき神とされています。そのため、建築や旅行など、大きな行動を起こす際には、暦を参照し、歳破神の在位方位を確認することが重要です。歳破神の方位を避け、慎重に行動することで、災いを回避することができると信じられています。

関連する用語としては、歳破神が属する八将神や、方位神、また、歳破と合わせて語られることの多い月破などが挙げられます。これらの神々や概念を理解することで、より深く陰陽道の暦注を読み解くことができるでしょう。

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